<視覚機能改善効果に関する研究レビュー>
【標題】
機能性関与成分ルテイン、ゼアキサンチンの視覚機能改善効果に関する研究レビュー
【目的】
ルテイン、ゼアキサンチンを摂取することによって視覚機能を改善するかどうかを検証することを目的としました。
【背景】
ルテイン、ゼアキサンチンは視覚機能を維持・改善するために重要な役割を果たすことが報告されていますが、健常成人を対象にした研究レビューはありませんでした。
【レビュー対象とした研究の特性】
リサーチクエスチョン、PICOに基づいた検索式を設定し、日本語および英語の3種の文献データベース(PubMed、Cochrane Library database、JDreamⅢ)にてランダム化比較試験の論文を網羅的に検出し、文献を抽出しました。その結果21報の文献を抽出し、最終的に1報の文献を採用しました。
【主な結果】
研究レビューの結果、ルテイン10mg/日、ゼアキサンチン2mg/日の摂取により黄斑色素密度の上昇、光刺激からの回復、コントラスト感度の改善が認められました。
【科学的根拠の質】
採用文献の試験対象者はアメリカ人でした。本品を主に摂取する対象者は日本人の健常者ですが、アメリカと民族的要因は多少異なるものの、視覚機能改善の目的での使用を考慮した場合、民族的要因の影響は受けにくいと考えられることから、日本人に外挿することは適切であると考えられます。黄斑色素密度の上昇、ブルーライトなどの光刺激の軽減の機能は、ルテイン、ゼアキサンチンの作用機序からの論拠として導き出されたものであり、その機能を十分に説明可能です。研究の限界として、同デザイン、同評価での日本人を対象とした文献がなく、今後さらなる研究が望まれます。
<認知機能の改善に関する研究レビュー>
【標題】
機能性関与成分ルテインおよびゼアキサンチンの認知機能の改善に関する研究レビュー
【目的】
ルテインおよびゼアキサンチンなどの黄斑色素は脳内にも存在し、認知機能にも影響を及ぼしていると言われています。そこで本研究レビューでは、ルテインおよびゼアキサンチンを摂取することによって認知機能の改善が図れるかどうか検証することを目的としました。
【背景】
ルテインおよびゼアキサンチンは有害な青色光を吸収し、酸化ストレスから網膜を保護するといった機能性に関する文献は数多く存在しますが、認知機能の改善に関する文献は少なく、研究レビューも実施されていません。
【レビュー対象とした研究の特性】
リサーチクエスチョン、PICOに基づいた検索式を設定し、日本語および英語の3種の文献データベース(PubMed、JDreamⅢ、医中誌Web)にて検索を実施しました。その結果33報の文献を抽出し、1次・2次スクリーニングの結果、最終的に2報を採用しました。2報とも質の高い、プラセボを対照とした無作為化比較試験でした。文献の質およびエビデンス総体の質の評価を行い、それらの結果を表示しようとする機能性との関連において評価しました。
【主な結果】
研究レビューの結果、ルテイン10mg/日およびゼアキサンチン2mg/日の12ヶ月の摂取で、認知機能に関して、視覚記憶、複雑性注意、認知的柔軟性の有意な改善が中等度のエビデンスで認められました。視覚記憶は若年者に限定され、複雑性注意および認知的柔軟性は高齢者に限定されることから、本品の対象者である注意力や思考の柔軟性が気になる健常高齢者に対して「高齢者の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である注意力(一つの事に集中したり、複数の物事に注意を向けられる能力)や思考の柔軟性(変化する身の回りの状況に応じて適切に考え方を修正し対処する能力)を維持する」機能があることが支持されました。日本人におけるルテイン摂取と黄斑色素光学密度(MPOD)の考察から、日本人への外挿性に十分な根拠があると判断しました。
【科学的根拠の質】
文献検索で英語と日本語のデータベースに絞ったため、論文の収集の網羅性に問題が残っていることから出版バイアスは否定できないものと判断しました。認知機能の改善に関して、採用した2報で選択的アウトカム報告(効果指標の一部だけの報告)が強く見られたことから非一貫性が疑われ、効果指標の標準偏差が大きいことから中程度の不精確と判断しました。全体では中程度のエビデンスレベルと判断しました。
<紫外線刺激からの肌保護に関する研究レビュー>
【標題】
機能性関与成分ルテイン・ゼアキサンチンによる紫外線刺激からの肌保護に対する機能性に関するシステマティックレビュー
【目的】
健常成人を対象に、紫外線刺激からの肌保護に関するルテイン・ゼアキサンチンの機能性について検証するために研究レビューを実施しました。
【背景】
ルテインおよびゼアキサンチンは、経口摂取後、肌に蓄積されることが報告されており、抗酸化作用やエンドトキシンで誘発された一酸化窒素(NO)、TNF-α、IL-6、PGE2などの炎症関連分子を抑制することから、紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能性を持つ可能性が考えられます。
【レビュー対象とした研究の特性】
文献調査の結果1報が採用されました。試験はランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験で、12週間実施していました。1日あたりルテイン10 mg、ゼアキサンチン0.6 mgを含む被験食品を12週間摂取し、皮膚の水分量、表面皮脂量、皮膚の弾力、皮脂の過酸化度、光保護効果について評価していました。40名の参加者全員が試験を完遂し、解析対象者は40名でした。参加者はすべて日本国外の女性でしたが、日本人への外挿性に問題はなく、日本の成人健常者男女において機能性が期待できるものと考えられました。
【主な結果】
採用文献において、ルテイン・ゼアキサンチン群はプラセボ群と比較して、1件中1件で紫外線照射に対する光保護効果が有意に高値を示しました。本採用文献では、健常成人が1日あたりルテイン10 mg、ゼアキサンチン0.6 mgを摂取することによって、紫外線刺激から肌を保護するのを助けることに対して肯定的でした。採用文献1件は、本機能性を評価することに問題のない質であると判断しました。
【科学的根拠の質】
文献検索で英語と日本語のデータベースに絞ったため、論文の収集の網羅性に問題が残っていること、および採用研究が1報であることから出版バイアスは否定できないものと判断しました。また、非一貫性と不精確についても限界があると判断しました。 |