(1)肌の保湿機能に及ぼす機能の検証
[標題] コラーゲンペプチド含有食品摂取が肌の保湿機能に及ぼす効果の検証
[目的] 研究レビューにより、肌の乾燥を有する健常者を対象にプラセボの経口摂取と比較し、国内外の論文を検索・調査し科学的根拠を評価した。
[背景] 皮膚は表皮・真皮及び皮下組織で構成され、表皮角質層のバリア機能(保湿力)で水分の蒸散を防ぎ、異物侵入や攻撃から体を守る。表皮水分量及び保湿力の保持は皮膚を健康に保つ上で重要である。
[レビュー対象とした研究の特性]
検索対象期間:~2018/10/10 /対象集団特性:肌乾燥を有する健常成人 /評価論文数:2報 /研究デザイン:最低2週間、健常成人対象に肌の保湿機能(皮膚水分量、皮膚水分蒸散量)に対するコラーゲンペプチド含有食品の効果検討する無作為化比較試験
[主な結果] 肌の乾燥を有する健常成人がコラーゲンペプチド含有食品(10g/日)の摂取でプラセボに対し統計学的有意な肌の保湿機能(肌の水分量を保持し保湿力を高める機能)があることが示された。
[科学的根拠の質] 採用論文が2報と少なく限界・問題点として挙げられる。英文及び邦文のみが論文抽出対象であり言語バイヤスを否定できない。
(2)皮膚粘弾性に及ぼす機能の検証
[標題] コラーゲンペプチド含有飲料摂取が皮膚粘弾性に及ぼす機能の検証
[目的] 研究レビューにより、健常な成人男女を対象にプラセボの経口摂取と比較して、国内外の論文を検索・調査し科学的根拠を評価した。
[背景] コラーゲンペプチドの経口摂取でプロリルヒドロキシプロリンやグリシルプロリルヒドロキシプロリン等が血中へ取込まれ、線維芽細胞の活性化を示すことが報告され、線維芽細胞はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作り真皮の皮膚粘弾性に影響を与えると考えられる。
[レビュー対象とした研究の特性]
検索対象期間:~2023/2/15 /対象集団特性:加齢による肌の衰え(乾燥、たるみ等)が気になる健常成人男女 /評価論文数:1報 /研究デザイン:健常成人対象に皮膚粘弾性に対するコラーゲンペプチド含有食品の効果検討する無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
[主な結果] コラーゲンペプチド含有食品(10g/日)の摂取でプラセボに対し統計学的有意に皮膚粘弾性指標の1つR8(Ua、第一曲線の総回復)の変化量を高めた。
[科学的根拠の質] 採用論文が1報と少なく限界・問題点として挙げられる。英文及び邦文のみが論文抽出対象であり言語バイヤスを否定できない。
(3)膝関節に及ぼす機能の検証
[標題] コラーゲンペプチド含有飲料摂取が膝関節に及ぼす機能の検証
[目的] 研究レビューにより、膝関節に違和感がある健常者を対象にプラセボの経口摂取と比較して、国内外の論文を検索・調査し科学的根拠を評価した。
[背景] 超高齢社会の日本では、運動器の障害で日常生活の支援や介護を要する高齢者が増加。要介護の主原因は運動器の障害であり運動器の機能低下は、疼痛の増加、歩行障害、日常生活動作の制限に繋がり、高齢者のQOL を悪化させる要因である。
[レビュー対象とした研究の特性]
検索対象期間:~2018/10/10 /対象集団特性:膝関節に違和感がある健常成人 /評価論文数:1報 /研究デザイン:最低2週間、健常成人対象に膝関節改善機能に対するコラーゲンペプチド含有食品の効果検討する無作為化比較試験
[主な結果] 膝関節に違和感がある健常成人がコラーゲンペプチド含有食品(10g/日)の摂取でプラセボと比較して統計学的有意な膝関節の改善機能が示された。
[科学的根拠の質] 採用論文が1報と少なく限界・問題点として挙げられる。英文及び邦文のみが論文抽出対象であり言語バイヤスを否定できない。
(4)骨の形成に及ぼす機能の検証
[標題] コラーゲンペプチド含有飲料摂取が骨の形成に及ぼす機能の検証
[目的] 研究レビューにより、健常な成人男女を対象にプラセボの経口摂取と比較して、国内外の論文を検索・調査し科学的根拠を評価した。
[背景] コラーゲンペプチドは骨芽細胞分化マーカー酵素の活性を上昇させ骨芽細胞分化のマスター遺伝子発現を上昇させることが知られている。また骨密度低下モデル動物にコラーゲンペプチドと低カルシウム食を同時に与えると、通常食と同程度の骨密度に改善することが報告されている。
[レビュー対象とした研究の特性]
検索対象期間:~2023/2/15 /対象集団特性:健常成人男女/評価論文数:1報 /研究デザイン:健常成人対象に骨代謝(骨をつくる働き)に対するコラーゲンペプチド含有食品の効果検討する無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
[主な結果] コラーゲンペプチド含有食品(10g/日)摂取でプラセボと比較して統計学的有意に骨型アルカリホスファターゼ(BAP)の変化量が大きく骨をつくる機能が示された。
[科学的根拠の質] 採用論文が1報と少なく限界・問題点として挙げられる。英文及び邦文のみが論文抽出対象であり言語バイヤスを否定できない。
(5)経皮水分蒸散量(皮膚バリア機能)に及ぼす機能の検証
[標題] こんにゃく由来グルコシルセラミド摂取による経皮水分蒸散量低下の検証
[目的] 本研究レビューでは、こんにゃく由来グルコシルセラミドを食品として摂取した場合において、健常人の経皮水分蒸散量(皮膚バリア機能)と角層水分量に対する影響について評価する。適格基準となるPICOを以下の通り設定した。
参加者 P:疾病に罹患していない者(肌荒れ、肌の乾燥などに悩む健常者)
介入 I:こんにゃく由来グルコシルセラミド含有食品の摂取試験であり、その含有量が明確なもの
比較 C:プラセボを対照として設定
評価項目 O:主要アウトカムは経皮水分蒸散量と角層水分量
研究デザイン:無作為化比較試験(RCT)による研究を採用
[背景] グルコシルセラミドは、こんにゃく、コメ、トウモロコシ、ビート、パイナップルなど様々な植物に含まれ、経皮水分蒸散量を改善することが報告されている。こんにゃく由来グルコシルセラミドの有効性に関する報告はあるが、網羅的に解析したレビューはない。
[レビュー対象とした研究の特性] 検索日(2024年1月17日)以前に検索サイトに登録された英文及び邦文について、こんにゃく由来グルコシルセラミドを健常人に経口摂取させ、肌への作用を観察している論文を検索した。
その結果、一次スクリーニング後に論文は89報となった。タイトルと要旨を検証し、8報の文献の本文取り寄せを実施した。内容について読込み、適格基準に照らして精査し、最終的に4報の論文を評価対象とした。除外論文については、多くはヒトを対象としていないか、原著論文でないものが殆どで、それ以外はグルコシルセラミド以外の成分の影響が排除できず除外とした。
[主な結果] こんにゃく由来グルコシルセラミド配合食品を健常な日本人に摂取させた4報の研究論文を検証した結果、グルコシルセラミドを1日当たり0.6~1.8mg、4~12週間摂取で、経皮水分蒸散量の有意な低下が認められた。さらに副作用等の安全性に関する報告はなかった。
[科学的根拠の質] 採用論文が4報と少なく出版バイヤスを検証したが明らかではなかった。いずれの研究もUMIN事前登録がなく、被験者や研究者に販売製品会社所属の者が含まれるなど、利益相反の問題が存在する点が研究の限界として考えられる。 |