●大豆β-コングリシニン
【標題】
機能性関与成分大豆β-コングリシニンの摂取による健常者のBMI を低下させる機能に関する研究レビュー(定性的研究レビュー)
【目的】
健常者において、大豆β-コングリシニンの摂取がBMI低下の機能性を有するか評価を行うことを目的とした。
【背景】
現在、肥満者やメタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病患者数が増加している。大豆β-コングリシニンはヒト試験において、摂取によりBMIを低下させることが報告されている。そこで本研究レビューでは、大豆β-コングリシニンの摂取がBMIの低下作用を有するかを検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】
国内外のデータベース(PubMed、The Cochrane Library、JDreamⅢ、医中誌Web)を調査した。最終的に評価対象となった2報は日本語で記載されており、試験デザインはいずれもランダム化比較試験(RCT)かつ並行群間試験であった。
【主な結果】
2報のうち2報で大豆β-コングリシニン2.3g~4.6g/日の摂取により対照群と比較してBMIの有意な減少が確認された(効果あり)。以上の結果から、大豆β-コングリシニン2.3g/日以上の摂取はBMIの低下に役立つ機能があることが示唆された。
【科学的根拠の質】
採用論文が2 報と少ないことが本研究レビューの限界として挙げられた。しかしながら、評価対象とした論文はいずれも査読付き論文で、研究デザインもRCTであり、研究の質は高いと判断できた。さらなるエビデンスの充実が必要ではあるものの、本研究レビューの総体として大豆β-コングリシニンの摂取はBMIの低下に対して有効であると考えられる。
●大豆イソフラボン
【標題】
「まめたん」に含まれる大豆イソフラボン摂取による骨吸収抑制作用に関する定性的研究レビュー
【目的】
健常な日本人女性において、大豆イソフラボンの摂取が骨吸収抑制の機能性を有するか評価を行うことを目的とした。
【背景】
閉経後の中高年女性は女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏による骨吸収の亢進により急激な骨量の減少が起こりやすく、丈夫な骨の維持はエストロゲンに大きく影響されることが報告されている。大豆イソフラボンには弱いエストロゲン様作用があることから、骨吸収の抑制に効果があることが報告されている。そこで本研究レビューでは、大豆イソフラボンの摂取が骨吸収抑制作用を有するかを検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】
国内外のデータベース(PubMed、JDreamⅢ、医中誌Web)を調査し、最終的に評価対象となった5報は日本語(3報)、英語(2報)で記載されておりいずれもRCTであった。試験デザインは、5報のうちクロスオーバー試験が3報、並行群間試験が2報であった。
【主な結果】
5報のうち2報(文献3、5)では大豆イソフラボン23.3と26.4mg/日(アグリコン換算)の摂取により対照群と比較して骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン量の有意な低下が確認された(効果あり)。1報(文献1)においては介入群の摂取前後のみ有意であり、対照群との比較において効果が認められなかった(効果なし)。2報(文献2、4)においては介入群の摂取前後のみ有意な低下が認められ、群間での有意差が不明確であった(判定保留)。以上の結果から、大豆イソフラボン23.3mg/日(アグリコン換算)以上の摂取は骨吸収抑制作用により骨の成分の維持に役立つ機能があることが示唆される。
【科学的根拠の質】
採用論文が5報と少ないことが本研究レビューの限界として挙げられた。しかしながら、評価対象とした論文はいずれも査読付き論文で、研究デザインもRCTであり、研究の質は高いと判断できた。さらなるエビデンスの充実が必要ではあるものの、本研究レビューの総体として大豆イソフラボンの摂取は骨吸収の抑制に対して有効であると考えられる。 |