<S-アリルシステイン(SAC)の身体的疲労感の軽減に関する機能性>
(ア)標題
機能性関与成分S-アリルシステイン(SAC)を用いた健常者における身体的的疲労感の軽減に関する研究レビュー
(イ)目的
P:健常者に対して、I:S-アリルシステイン(SAC)含有食品を経口摂取することにより、C:プラセボ食品の経口摂取と比較して、O:日常生活における身体的疲労感を軽減する機能性がみられるかについて研究レビューを実施した。
(ウ)背景
S-アリルシステイン(SAC)は、フリーラジカル除去作用、抗酸化酵素誘導作用などさまざまな生理作用が報告されており、身体的・精神的疲労感に対する効果がヒト臨床試験により確認されている。そこで、日常生活における一時的な身体的疲労感がS-アリルシステイン(SAC)を摂取することにより軽減されるか評価することにより、機能性表示食品へ応用できる可能性を考え、研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
検索日は2024年5月19日、文献データベースは、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Web、JDreamⅢ、およびUMIN-CTRを使用した。検索対象期間は1946年から検索日までとし、ランダム化比較試験(RCT)を対象に検索を行った。対象者は、疾病に罹患していない健常成人とし、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦、及び継続的、慢性的な疲労を感じている者を除くこととした。
(オ)主な結果
1報のRCT論文が抽出され、1報でS-アリルシステイン(SAC)摂取群の評価項目(「身体的疲労感」)において一時的な疲労感を軽減する方向で有意な結果を示していることが確認された。被験食品と関連性のある有害事象は観察されなかった。
(カ) 科学的根拠の質
バイアスリスクは「-1(疑い)」、非直接性は「0(低)」、不精確は「-2(高)」、非一貫性は「-1(疑い)」、その他(出版バイアスなど)は「-1(疑い)」と評価した。
これらの結果を総合して、バイアスリスク、非一貫性、その他(出版バイアスなど)が疑い、不精確が高であるものの、「日常生活における身体的疲労感の軽減」において、採用論文1報のうち1報でプラセボ群と比較して有意差が認められていることを踏まえ、totality of evidenceの観点から、S-アリルシステイン(SAC)の日常生活における身体的疲労感の軽減について有効であり、エビデンス総体の確実性は「中」と判断した。
本研究レビューに含まれるエビデンスの限界としては、論文数が1報と少なく、メタアナリシスによる定量的な統合が実施されていないことが挙げられる。実施したレビュープロセスの限界については、英語および日本語の論文のみが抽出されたことから、他の言語における本研究レビューに関連する論文の存在は否定できず、言語バイアスが否定できないことが挙げられる。
<S-アリルシステイン(SAC)の精神的疲労感の軽減に関する機能性>
(ア)標題
機能性関与成分S-アリルシステイン(SAC)を用いた健常者における精神的疲労感の軽減に関する研究レビュー
(イ)目的
P:健常者に対して、I:S-アリルシステイン(SAC)含有食品を経口摂取することにより、C:プラセボ食品の経口摂取と比較して、O:精神的疲労感を軽減する機能性がみられるかについて研究レビューを実施した。
(ウ)背景
S-アリルシステイン(SAC)は、フリーラジカル除去作用、抗酸化酵素誘導作用などさまざまな生理作用が報告されており、身体的・精神的疲労感に対する効果がヒト臨床試験により確認されている。そこで、認知機能を使うことにより感じる一時的な精神的疲労感がS-アリルシステイン(SAC)を摂取することにより軽減されるか評価することにより、機能性表示食品へ応用できる可能性を考え、研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
検索日は2024年2月9日、文献データベースは、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Web、JDreamⅢ、およびUMIN-CTRを使用した。検索対象期間は1946年から検索日までとし、ランダム化比較試験(RCT)を対象に検索を行った。対象者は、疾病に罹患していない健常成人とし、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦、及び継続的、慢性的な疲労を感じている者を除くこととした。
(オ)主な結果
1報のRCT論文が抽出され、1報でS-アリルシステイン(SAC)摂取群の評価項目(「精神的疲労感」)において一時的な疲労感を軽減する方向で有意な結果を示していることが確認された。被験食品と関連性のある有害事象は観察されなかった。
(カ) 科学的根拠の質
バイアスリスクは「-1(疑い)」、非直接性は「0(低)」、不精確は「-2(高)」、非一貫性は「-1(疑い)」、その他(出版バイアスなど)は「-1(疑い)」と評価した。
これらの結果を総合して、バイアスリスク、非一貫性、その他(出版バイアスなど)が疑い、不精確が高であるものの、「精神的作業負荷による精神的疲労感」において、採用論文1報のうち1報でプラセボ群と比較して有意差が認められていることを踏まえ、totality of evidenceの観点から、S-アリルシステイン(SAC)の精神的作業負荷による精神的疲労感の軽減について有効であり、エビデンス総体の確実性は「中」と判断した。
本研究レビューに含まれるエビデンスの限界としては、論文数が1報と少なく、メタアナリシスによる定量的な統合が実施されていないことが挙げられる。実施したレビュープロセスの限界については、英語および日本語の論文のみが抽出されたことから、他の言語における本研究レビューに関連する論文の存在は否定できず、言語バイアスが否定できないことが挙げられる。 |