◆GABA
【血圧に及ぼす影響】
1標題
本製品に含まれる機能性関与成分 γ-アミノ酪酸 (GABA)(以下、GABA) を、健常成人で血圧が正常または高めの方が経口摂取した際に、血圧にどのような影響を及ぼすのかについての研究レビュー
2目的
健常成人で血圧が正常または高めの方がGABAを経口摂取した場合、血圧にどのような影響を及ぼすかについて、臨床論文の検索とレビューを行い検証することを目的とした。
3背景
GABA には、血圧降下作用やデスクワークなどによるストレス緩和作用、睡眠の質改善作用などが報告されており、多様な食品に配合されている。そこで、GABA 含有成分を販売するにあたり、GABA の経口摂取が血圧にどのような影響を及ぼすのかを検証するために、本研究レビューを行った。
4レビュー対象とした研究の特性
データベースより適格基準に合致した12件の論文が採用された。採用文献の GABA 1日摂取量は、12.3~120 mg であった。対象被験者は、14~161名で、正常血圧者を対象としていたのが1報、正常高値血圧者およびI度高血圧者を対象としていたのが10報、正常血圧者、正常高値血圧者およびI度高値血圧者を対象としていたのが1報であった。また、層別解析を行っている文献は8報であった。摂取期間は12~16週間で、拡張期血圧および収縮期血圧を評価していた。
5主な結果
収取期血圧および拡張期血圧ともに、プラセボ群と比較した結果、有意に降圧が認められた。また、層別解析の結果、正常高値血圧者に対する有意な血圧降下も認められた。
6科学的根拠の質
採用された文献12報は全て日本で行われた試験であった。従って、外挿性に問題はないと判断した。全てランダム化比較試験で行われていた。1報が単盲検であったが、バイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫性、その他のバイアス (出版バイアス) などについて、無視できない深刻なリスク・問題等は無いと判断した。
◆葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)
【エネルギー(カロリー)消費量に及ぼす影響】
1表題
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)摂取がエネルギー消費量に及ぼす影響
2目的
健常成人において、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)を摂取すると、プラセボと比較して、エネルギー消費量が増加するか検証することを目的とした。
3背景
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の経口摂取がエネルギー消費量を増加させるとの報告があり、そのヒト試験結果を総合的に評価するためシステマティックレビューを実施した。
4レビュー対象とした研究の特性
健常成人における葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の経口摂取がエネルギー消費量に及ぼす影響に関する研究を検索対象とした。内容を精査し、1研究を評価対象とした。該当した文献は日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。利益相反として著者に葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の関連者が含まれていた。
5主な結果
対象者は健常成人男性61名で、摂取期間は8週間、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)の一日摂取量は35mgであった。自転車エルゴメーターによる運動負荷時(3.5メッツ程度)においてエネルギー消費量が有意な増加した。また、安全性においても懸念は認められなかった。
6科学的根拠の質
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)35 mg/日の摂取は、エネルギー消費量を増加させる機能を有することが示唆された。但し、本研究における限界として、採用論文数が少なく潜在的に出版バイアス(※1)が存在する可能性や、症例減少バイアス(※2)といったバイアスの混入は否定できない。
【脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)に及ぼす影響】
1標題
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)摂取が脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)に及ぼす影響
2目的
健常成人において、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)を摂取すると、プラセボ摂取時と比較して、脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)を高めるか検証することを目的とした。
3背景
これまで葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)が脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)を高めるかを網羅的に調べた研究は見当たらないことから、システマティックレビューを実施した。
4レビュー対象とした研究の特性
健常成人における葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の経口摂取が脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)に及ぼす影響をプラセボと比較した研究を検索対象とした。内容を精査し、1研究を評価対象とした。該当した文献は日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。
5主な結果
対象者は健常成人男性67名で、摂取期間は8週間、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)の一日摂取量は35mgであった。自転車エルゴメーターによる運動負荷時(日常の身体活動と同程度)において脂肪分解の指標である血中のグリセロールと遊離脂肪酸の運動負荷時AUC、脂肪燃焼の指標である血中の総ケトン体の運動負荷後AUCが有意に増加した。また、安全性においても懸念は認められなかった。
6科学的根拠の質
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)35 mg/日の摂取は、脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)を高める機能を有することが示唆された。
但し、本研究における限界として、採用論文数が少なく潜在的に出版バイアス(※1)が存在する可能性や、症例減少バイアス(※2)といったバイアスの混入は否定できない。
【腹部脂肪、体重、胴囲に及ぼす影響】
1標題
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)摂取が腹部脂肪、体重、胴囲に及ぼす影響
2目的
健常成人において、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)を摂取すると、プラセボと比較して、腹部脂肪面積、体重、胴囲が減少するか検証することを目的とした。
3背景
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の経口摂取が、腹部脂肪面積、体重、胴囲を減少させるとの報告があり、そのヒト試験結果を総合的に評価するため、システマティックレビューを実施した。
4レビュー対象とした研究の特性
健常成人(特定保健用食品用の試験方法に準じ、肥満Ⅰ度(BMIが25以上30未満)の者を含む)における葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の経口摂取が腹部脂肪面積、体重、胴囲に及ぼす影響に関する研究を検索対象とした。内容を精査し、6研究を評価対象とした。なお、6研究は、全て日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。利益相反として、6研究中5研究においては著者に葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)の関連者が含まれており、1研究は当該成分を含む製品の販売を行う企業より財政的支援を受けていた。
5主な結果
6研究における対象者は30~130例で、摂取期間は4~12週、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)の一日摂取量は主として22.0~42.0 mgであった。メタアナリシスを実施した結果、問題となるような出版バイアス(※1)は認められず、腹部脂肪面積、体重、胴囲の有意な減少が認められた。また、副作用等の健康被害はなかった。なお、肥満症に罹患していないと明確に判断できる者のみの解析結果においても、腹部脂肪面積、体重、胴囲の有意な減少が認められた。
6科学的根拠の質
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)は、主として22.0~42.0 mg/日の摂取により、腹部脂肪面積、体重、胴囲を減少させることが示唆された。
但し、本研究における限界として、多くの研究で研究計画は事前登録されておらず、利益相反の問題も存在するため、バイアスの混入は否定できない。また、12週間以上摂取した場合の影響は不明である。安全性については、別の切り口の評価が必要である。
※1)出版バイアス:肯定的な研究結果がそうでない研究結果に比べて出版されやすいために起こる結果の偏りのこと。
※2)症例減少バイアス:解析から除外されている被験者数が多い場合に生じる偏りのこと。 |