◆コラーゲンペプチド〔以下、CPとする〕
【A:日常生活動作時の膝関節に関する悩みに対する影響】
1.標題
CPの摂取による健常成人の日常生活動作時における膝関節に関する悩みに対する機能性
2.目的
健常成人にCPを摂取させるとプラセボ摂取と比較して日常生活動作時における膝関節に関する悩みを改善する機能を有するかの検証
3.背景
CPが日常生活動作時における膝関節に関する悩みを改善する機能を有するかを網羅的に調べた研究は見当たらないため本研究レビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人を対象に、CP摂取による日常生活動作時における膝関節に関する悩みに対する影響を、プラセボ摂取と比較した論文を評価対象とし、論文内容を精査したところ、採用論文は1報となった。
5.主な結果
健常成人において、CP 2 g/日を12週間摂取させた結果、プラセボ摂取と比較して、日本整形外科学会膝痛疾患治療成績判定基準(JOA)合計スコア、JOAⅠスコア、JOAⅡスコア、日本版変形性膝関節症患者機能評価表(JKOM)合計スコア、JKOMⅡスコア、JKOMⅢスコア、日常生活動作時の膝関節に関するVisual Analogue Scale(VAS)アンケートで有意な改善が認められた。
6.科学的根拠の質
健常成人において、CP 2 g/日の継続摂取は、日常生活(歩行、階段昇降、立ち上がり、曲げ伸ばし)における膝の違和感を軽減する機能を有することが示されたが、本研究の限界として、症例減少バイアス等のバイアスの混入は否定できない。また、採用文献数が少なく、潜在的に出版バイアスが存在する可能性は否定できないため、今後の研究の注視が必要である。
【B:腰に関する悩みに対する影響】
1.標題
CPの摂取による腰の不快感に対する機能性
2.目的
健常成人に、CPを摂取させると、プラセボ摂取と比較して、腰の不快感を改善する機能を有するかの検証
3.背景
CPを摂取すると腰の痛みなどの不快感を改善する機能を有するかを網羅的に調べた研究は見当たらないことから、本研究レビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人を対象に、CP摂取による腰の不快感への影響をプラセボ摂取と比較した論文を評価対象とし、論文内容を精査したところ、採用論文は1報となった。
5.主な結果
健常成人において、CP2 g/日を12週間摂取させた結果、プラセボ摂取と比較して、腰の痛みに関するQOLを評価する疾患特異的・患者立脚型慢性腰痛症患者機能評価尺度(JLEQ)スコア、床から重いものを持ち上げたときの腰の痛みを評価するVisual Analogue Scale(VAS)アンケートで有意な改善が認められた。
6.科学的根拠の質
健常成人において、CP2 g/日の継続摂取は、一時的な腰の不快感を軽減する機能を有することが示されたが、本研究の限界として、症例減少バイアス等のバイアスの混入は否定できない。また、採用文献数が少なく、潜在的なバイアスが存在する可能性は否定できないため、今後の研究の注視が必要である。
◆葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)
〔以下、PFIFとする〕
【脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)に及ぼす影響】
1.標題
PFIF摂取が脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)に及ぼす影響
2.目的
健常成人において、PFIFを摂取すると、プラセボと比較して、脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)を高めるかの検証
3.背景
これまでPFIFが脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)を高めるかを網羅的に調べた研究は見当たらないことからシステマティックレビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人におけるPFIFの経口摂取が脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)に及ぼす影響をプラセボと比較した研究を検索対象とした。内容を精査し、1研究を評価対象とした。該当した文献は日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。
5.主な結果
対象者は健常成人男性67名で、摂取期間は8週間、PFIFの一日摂取量は35mgであった。自転車エルゴメーターによる運動負荷時(日常の身体活動と同程度)において脂肪分解の指標である血中のグリセロールと遊離脂肪酸の運動負荷時AUC、脂肪燃焼の指標である血中の総ケトン体の運動負荷後AUCが有意に増加した。また、PFIF摂取の安全性においても懸念は認められなかった。
6.科学的根拠の質
PFIF 35 mg/日の摂取は、脂肪の代謝(脂肪の分解・燃焼)を高める機能を有することが示唆された。但し、本研究における限界として、採用論文数が少なく潜在的に出版バイアス(※1)が存在する可能性や症例減少バイアス(※2)といったバイアスの混入は否定できない。
【エネルギー消費量に及ぼす影響】
1.表題
PFIF摂取がエネルギー消費量に及ぼす影響
2.目的
健常成人において、PFIFを摂取すると、プラセボと比較して、エネルギー消費量が増加するかの検証
3.背景
PFIFの経口摂取がエネルギー消費量を増加させるとの報告があり、そのヒト試験結果を総合的に評価するためシステマティックレビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人におけるPFIFの経口摂取がエネルギー消費量に及ぼす影響に関する研究を検索対象とした。内容を精査し、1研究を評価対象とした。該当した文献は日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。利益相反として著者にPFIFの関連者(製造又は販売を行う企業社員等)が含まれていた。
5.主な結果
対象者は健常成人男性61名で、摂取期間は8週間、PFIFの一日摂取量は35mgであった。自転車エルゴメーターによる運動負荷時(3.5メッツ程度)においてエネルギー消費量が有意に増加した。また、PFIF摂取の安全性においても懸念は認められなかった。
6.科学的根拠の質
PFIF 35 mg/日の摂取は、エネルギー消費量を増加させる機能を有することが示唆された。但し、本研究における限界として、採用論文数が少なく潜在的に出版バイアス(※1)が存在する可能性や、症例減少バイアス(※2)といったバイアスの混入は否定できない。
【腹部脂肪、体重、胴囲に及ぼす影響】
1.標題
PFIF摂取が腹部脂肪、体重、胴囲に及ぼす影響
2.目的
健常成人において、PFIFを摂取すると、プラセボと比較して、腹部脂肪面積、体重、胴囲が減少するかの検証
3.背景
PFIFの経口摂取が、腹部脂肪面積、体重、胴囲を減少させるとの報告があり、そのヒト試験結果を総合的に評価するため、システマティックレビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人(特定保健用食品用の試験方法に準じ、肥満Ⅰ度(BMIが25以上30未満)の者を含む)におけるPFIFの経口摂取が腹部脂肪面積、体重、胴囲に及ぼす影響に関する研究を検索対象とした。内容を精査し、6研究を評価対象とした。なお、6研究は、全て日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。利益相反として、著者にPFIFの関連者(製造又は販売を行う企業社員等)が含まれていた。
5.主な結果
6研究における対象者は30~130例で、摂取期間は4~12週、PFIFの一日摂取量は主として22.0~42.0 mgであった。メタアナリシスを実施した結果、問題となるような出版バイアス(※1)は認められず、腹部脂肪面積、体重、胴囲の有意な減少が認められた。また、PFIFの摂取による、副作用等の健康被害はなかった。なお、肥満症に罹患していないと明確に判断できる者のみの解析結果においても、腹部脂肪面積、体重、胴囲の有意な減少が認められた。
6.科学的根拠の質
PFIFは、主として22.0~42.0 mg/日の摂取により、腹部脂肪面積、体重、胴囲を減少させることが示唆された。但し、本研究における限界として、多くの研究で研究計画は事前登録されておらず、利益相反の問題も存在するため、バイアスの混入は否定できない。また、12週間以上摂取した場合の影響は不明である。安全性については別の切り口の評価が必要である。
※1)出版バイアス:肯定的な研究結果がそうでない研究結果に比べて出版されやすいために起こる結果の偏りのこと。
※2)症例減少バイアス:解析から除外されている被験者数が多い場合に生じる偏りのこと。 |