【標題】
最終製品「〇〇」に含まれる機能性関与成分:リコピンの、紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能性に関する研究レビュー
【目的】
リコピンの摂取による紫外線刺激から肌を保護する効果について、疾病に罹患していない健常な成人を対象とした臨床試験論文のシステマティック・レビューを実施し、その効果について検証することを目的とした。
【背景】
我々が外出時に浴びている太陽光線は、その波長によって紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)に分類される。このうち、紫外線はビタミンDの生合成や光線治療など人体に有益である一方、同時に有害作用ももたらすことが知られている。紫外線による有害作用として代表的なものが、急性障害の「日焼け」である。「日焼け」には、紫外線に長時間曝露されることによって皮膚が赤くなるサンバーン(紅斑の発症)と、これに続く色素増強のサンタンが含まれるが、これらはいずれも皮膚障害の第一歩とされている。日焼けは慢性障害として加齢と共に増加する光老化のリスク要因となる他、皮膚がんのリスクも増大するため、日焼けを防止し皮膚を守ることは健康維持の観点から重要性が高い。そのため、これまでに日焼け止めなど肌に塗布する種々の医薬品が開発・市販されてきた。
リコピン(Lycopene、分子式C40H56)は、抗酸化作用が強いことで知られるカロテノイドの一種であり、トマト果実に豊富に含まれている色素化合物である。
リコピンには、これまでの研究により、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病予防や、ガン発症抑制などに効果があることが報告されているほか、近年では肌機能に対しても様々な美容効果が期待できることが報告されてきた。そこで、本研究レビューでは、リコピンが健康な成人に対して紫外線刺激から肌を保護する機能性があるかどうかについて検討した研究報告を調査し、定性的にまとめることとした。
【レビューを対象とした研究の特性】
PubMed、JDreamⅢ(JSTPlus+JMEDPlus+JST7580)、医中誌Webの3つのデータベースおよび消費者庁サイトを情報源として用いて、文献検索を行った(最終検索日2024年4月17日)。その結果、計53報の文献が検索され、採用基準で選抜した結果、計2報が採用された。最終的にその2報の文献を評価した。
【主な結果】
適格基準に合致した論文2報が採用され、各研究の定量的統合は行わず定性的な統合、評価を行った。合致した2報の結果から、リコピンを1日当たり16 mg含む食品の継続摂取により、紫外線刺激からの肌の保護について支持する有意な結果が得られた。採用文献2報どちらも外国人(イギリス人、ドイツ人)、かつスキンタイプがⅠーⅡの者を対象としており、スキンタイプがⅡーⅣに該当する者が多いとされる日本人を対象とする論文は無かったが、これらの報告では日本人への外挿性を否定するような内容は確認できなかったことに加え、採用論文ではないが、日本人を対象とした試験による結果が認められていることから、リコピンの摂取による紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能について科学的根拠があるものと判断した。
【科学的根拠の質】
本研究レビューの限界として、メタアナリシスを実施していないことが挙げられる。一方で、今回の研究レビューの結果から、疾病に罹患していない健常な成人において、リコピンの経口摂取が紫外線刺激による皮膚の紅斑の発生を低減する機能に対して科学的根拠があり、本製品が表示しようとする「本品にはリコピンが含まれます。リコピンには紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能が報告されています。」という機能性は妥当であると評価した。 |