【イソマルトデキストリン(食物繊維)】
<食後血糖上昇抑制・糖の吸収抑制>
標題
イソマルトデキストリンの食後の血糖上昇抑制作用もしくは食品由来の糖の吸収抑制作用に関する研究レビュー
目的
健常成人を対象とし、イソマルトデキストリンの摂取による食後の血糖上昇抑制作用もしくは糖の吸収抑制作用があるか検証した
背景
日本では食生活の変化などを背景とした将来的な糖尿病リスクの対策が急務となっており、食後の血糖値管理も重要とされている。食物繊維には食後血糖値の上昇を抑制する機能を有するものが知られており、水溶性食物繊維であるイソマルトデキストリンにもその機能が期待されている。そこで、本研究レビューでは食後の血糖上昇抑制作用もしくは糖の吸収抑制作用に関する研究レビューを実施した。
レビュー対象とした研究の特性
検索日:日本国内外の文献 2021年10月13日(PubMed, The Cochrane Library, JDreamⅢ)
検索対象期間:検索日までの全期間
対象集団の特性:健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)
最終的に評価した論文数:3報
研究デザイン:ランダム化二重盲検並行群間比較試験、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験、
準ランダム化二重盲検比較試験
利益相反:本研究レビューは㈱林原で実施された
主な結果
健常成人がイソマルトデキストリン3 g以上を摂取すると食後血糖上昇抑制作用及び食品由来の糖の吸収抑制作用が期待できると判断された。
科学的根拠の質
採用文献3報は全てエビデンスグレードが高いRCT研究で、健常な日本人成人男女を対象としていた。評価の結果、各種バイアス(偏り)の可能性は否定できないが、評価指標は主観の入らない血糖値であり、肯定的な有効性は一貫していたため、機能性の根拠になると判断した。したがって、当該製品が想定する主な対象者である健常成人において、研究レビューと同様の効果が期待される。なお、対象となる文献数が3報と少ないことから、今後更なる研究報告が望まれる。
<食後血中中性脂肪上昇抑制・脂肪の吸収抑制作用>
標題
イソマルトデキストリンの食後の血中中性脂肪上昇抑制作用もしくは食品由来の脂肪の吸収抑制作用の検証
目的
健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)を対象としてイソマルトデキストリンの摂取による食後の血中中性脂肪上昇抑制作用もしくは脂肪の吸収抑制作用があるか検証した
背景
日本では食生活の変化などを背景とした生活習慣病リスクの対策が急務となっており、食後高脂血症に対する注意も重要とされている。食物繊維には食後の血中中性脂肪値の上昇を抑制する機能を有するものが知られており、水溶性食物繊維であるイソマルトデキストリンにもその機能が期待されている。そこで今回、食後の血中中性脂肪値上昇抑制作用もしくは脂肪の吸収抑制作用に関するシステマティックレビューを実施した。
レビュー対象とした研究の特性
検索日:日本国内外の文献 2021年10月13日(PubMed, The Cochrane Library,JDreamⅢ)
検索対象期間:検索日までの全期間
対象集団の特性:健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)
最終的に評価した論文数:2報
研究デザイン:ランダム化二重盲検並行群間比較試験、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験、
準ランダム化二重盲検比較試験
利益相反:評価対象とした2件の研究において、研究監修機関、方針決定機関、研究実施機関は独立している。
資金源は方針決定機関(㈱林原)。本SRは㈱林原より依頼を受け、合同会社オクトエルが実施した 。
主な結果
イソマルトデキストリンは5 g以上を食品とともに摂取すると健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)の食後の血中中性脂肪上昇抑制作用と食品由来の脂肪の吸収抑制作用を有すると考えられる。
科学的根拠の質
採用論文は2報であるため、パブリケーション・バイアスと非一貫性については検討していない。また、メタアナリシスを実施できなかったため定性的なレビューとなった。しかしながらエビデンス・グレーディングが高いとされるランダム化二重盲検比較試験で実施されており、機能性に関する結論が後発の1次研究によって大きく変更される可能性は低いと推察される。一日当たりの有効摂取量に関しては、さらなる研究が報告されることが望まれる。
<整腸作用>
標題
イソマルトデキストリンの整腸作用(便通改善作用)の検証
目的
便秘傾向者を含む健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)を対象としてイソマルトデキストリンの摂取による整腸作用(便通改善作用)があるか検証した
背景
日本では食生活の西洋化などに伴い食物繊維の摂取量が不足し、摂取量の増加が求められている。イソマルトデキストリンは水溶性食物繊維であり、プレバイオティクスとしての機能が期待されている。そこで今回、整腸作用(便通改善作用)に関するシステマティックレビューを実施した。
レビュー対象とした研究の特性
検索日:日本国内外の文献 2021年10月13日(PubMed, The Cochrane Library, JDreamⅢ)
検索対象期間:検索日までの全期間
対象集団の特性:便秘傾向者を含む健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)
最終的に評価した論文数:2報
研究デザイン:ランダム化二重盲検並行群間比較試験、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験、
準ランダム化二重盲検比較試験
利益相反:本システマティックレビューは、㈱林原の依頼を受け、合同会社オクトエルにて
論文スクリーニング業務、統計解析業務等を実施した
主な結果
便秘傾向者を含む健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)において、一日当たりイソマルトデキストリン4.29 g以上の摂取は腸内環境を整えることで、排便日数を有意に増加させ、便通を改善する作用があることが明らかとなった。
科学的根拠の質
採用論文は2報と少なくメタアナリシスを実施できなかったため定性的なレビューとなったが、各々ランダム化二重盲検比較試験で実施され、結果に一貫性があるため、信頼性は高いと考えられる。今後一日当たりの有効摂取量などに関してさらなる研究が望まれる。
【GABA】
標題
GABAによる血圧が高めの方への血圧低下作用に関する検証
目的
健常人および健常人で血圧が高めの方においてGABAの経口摂取により血圧低下作用があるか検証する。
背景
高血圧は心血管病など様々な疾患の主要な危険因子である上、重大な生活活動阻害要因となることから、生活習慣の是正や日常生活に取り入れやすい食品による発症予防対策が重要と考えられる。様々な食品に含まれているアミノ酸の一種であるGABAは抑制性伝達物質として知られ、降圧効果が期待されている。そこで、GABAの血圧低下作用に関するシステマティックレビューを行った。
レビュー対象とした研究の特性
検索日:2019年1月26日
検索対象期間:検索日までの全期間
対象集団の特性:健康人および健常人で血圧が高めの方
最終的に評価した論文数:7報
研究デザイン:プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験、オープン投与前後比較試験
利益相反:本レビューは、オリヒロプランデュ株式会社の委託を受け、
NPO法人日本抗加齢協会所属の専門知識を有する医師、
学識経験者によって実施された
主な結果
GABAを含有した食品を機能性食品として、日常的に摂取することは、正常高血圧者、Ⅰ度高血圧者に対して、適度な血圧低下作用を有し、安全性も高いことが示された。
科学的根拠の質
全研究報告を通じてプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で行われており、若干の脱ライク例がありバイアスが存在するが、全般的なバイアスリスクは低いと判断した。また、GABAの摂取が血圧を低下させるという結果には一貫性があり、これまでの研究結果とも矛盾していない。 |