1.機能性関与成分ルテイン、ゼアキサンチンの摂取による黄斑色素量の維持視覚改善に対する機能性に関する研究レビュー
【目的】ルテイン、ゼアキサンチンを摂取することによって視覚改善するかどうかを検証することを目的とした。
【背景】ルテイン、ゼアキサンチンは視覚機能を維持・改善するために重要な役割を果たすことが報告されているが、健常成人を対象にした研究レビューは無かった。
【レビュー対象とした研究の特性】3種の文献データベース(PubMed、The Cochrane Library、医中誌 Web)にてランダム化比較試験の論文を網羅的に検出した結果、3報の文献を抽出し、最終的に3報の文献を採用した。
【主な結果】プラセボと比較して、ルテイン 10mg/日以上、ゼアキサンチン 2mg/日を摂取することにより、眼の黄斑色素光学密度(黄斑色素量)を維持する働きがあり眼の保護に役立ち、継続摂取で、コントラスト感度改善、グレア感度改善、光ストレス軽減による視機能改善に役立つことが示された。
【科学的根拠の質】採用した文献は、全てランダム化プラセボ対照並行群間試験であり、その質は高い。一方、出版バイアスの存在が示唆された。今回のレビューでは採用文献3報はいずれもアメリカ人を対象とした研究であった。日本人への外挿性については、網膜にはすべての人種で黄斑色素が含まれることから問題ないと考えられる。研究の限界として、同デザイン、同評価での日本人を対象とした文献がなく、今後さらなる研究が望まれる。
2.機能性関与成分ルテインおよびゼアキサンチンの認知機能の改善に関する研究レビュー
【目的】ルテインおよびゼアキサンチンを摂取することによって認知機能の改善が図れるかどうか検証することを目的とした。
【背景】ルテインおよびゼアキサンチンは黄斑色素量の維持および視機能の改善に関する機能があることから、認知機能の改善にも関係すると考えているが、認知機能の改善に関する文献は少なく、研究レビューも実施されていない。
【レビュー対象とした研究の特性】3種の文献データベース(PubMed、The Cochrane Library、医中誌Web)にて検索を実施した結果、2報の文献を抽出し、最終的に2報の文献を採用した。
【主な結果】研究レビューの結果、本レビューの結果、採用文献2報いずれも10mg/日のルテイン、2mg/日のゼアキサンチンをそれぞれ摂取させており12ヶ月の継続摂取でプラセボと比較して有意な改善が認められ、認知機能の一部である判断力(変化する状況に応じて適切に対処したり、推論したりする能力)、注意力(一つのことに集中したり、複数の物事に注意を向けられる能力)を維持することが認められた。
【科学的根拠の質】本研究レビューにおいて採用した文献は、全てダブルブラインド無作為化比較試験であり、その質は高い。一方、採用文献2報はいずれもアメリカ人を対象とした研究であった。日本人への外挿性については、人種間で認知機能や脳の働きや機能は同じであることから問題ないと考えられる。研究の限界として、同デザイン、同評価での日本人を対象とした文献がなく、今後さらなる研究が望まれる。
3.血圧低下作用に関する研究レビュー
【目的】血圧が高めの健常者に対するGABA摂取による血圧低下効果を検討した。
【背景】GABAは発酵食品などに含まれており、日常的に摂取されているアミノ酸であり、血圧降下作用があることが知られている。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外の文献データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で血圧を評価している文献15報を評価した。
【主な結果】正常高血圧の人において、12.3mg~80mg/日のGABA摂取時の効果として、血圧が有意に低下する効果が認められた。また、正常な血圧の人のみを対象とした場合は正常な血圧を維持した。
【科学的根拠の質】採用文献はいずれも日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。採用した 15 報の論文のバイアス・リスクの評価では、1 報が「中」、残りの採用論文は、「低」であった。エビデンスの強さでは、収縮期血圧は強(A)、拡張期血圧は中(B)と評価した。比較的研究の進んでいるジャンルであるが、出版バイアスなどは否定できない。
4.一時的な精神的ストレスや疲労感の緩和作用に関する研究レビュー
【目的】日常生活における精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感に対してGABA摂取の機能性を検証した。
【背景】GABAの日常生活における一時的な精神的ストレスや疲労感の緩和について、これまで網羅的に評価された文献はなかったため、検証するため本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを検索し、健常成人を対象とし、GABA・プラセボ摂取時を比較した試験である11報の文献を評価した。
【主な結果】一時的なストレスや疲労感を評価する指標「主観的指標(VAS、POMS)、客観的指標(唾液中のコルチゾール・クロモグラニンA、脳波の変動、自律神経活動の各指標)」により評価した結果、28 mg以上のGABAを摂取することで、仕事や家事などによる一時的なストレスや疲労感を和らげる効果が確認された。
【科学的根拠の質】採用文献はいずれも日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。バイアス・リスクの評価では、自律神経活動は「低」とし、主観的疲労感(VAS、POMS)、脳波の変動は「中」とし、唾液中ストレスマーカー(クロモグラニンA、コルチゾール)は「高」とした。さらにエビデンスの強さは主観的疲労感(VAS、POMS)、脳波の変動、自律神経活動は中(B)と評価し、唾液中ストレスマーカー(クロモグラニンA、コルチゾール)、は弱(C)と評価した。ただし、脳波の変動や自律神経活動においては、評価文献が少ないことから、さらなる効果の検討が望まれる。
5.機能性関与成分GABAによる睡眠の質向上の機能性に関するシステマティックレビュー
【目的】GABAを健常日本人成人に摂取させた試験の論文を網羅的な文献検索により収集し、プラセボなどのコントロールと比較した臨床試験から、GABA摂取により睡眠の質が改善するか否かを合理的に検証することである。
【背景】GABAは、中枢神経系において主要な神経伝達物質で、γ-アミノ酢酸活動に作用することで、不安軽減、疼痛緩和、鎮静効果などの作用があるとされているが、健常な成人男女を対象としたGABA摂取による睡眠の質向上の機能性に関するシステマティックレビューはなされていなかったため、レビューを実施し検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】2つのデータベースを用いて文献を検索し、ランダム化比較試験(RCT)、ランダム化クロスオーバー試験、準ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験を選抜した。健常または睡眠に軽度の不満を持つ健常な成人男女を対象とし、GABAを摂取し、対照群やコントロール群との比較において、睡眠時の脳波による客観的評価と質問紙などによる主観的評価で評価としている査読付き論文を対象とした。文献検索の結果、3報の文献を採用した。
【主な結果】介入としてGABA 100mgを1週間から2週間摂取し、プラセボにはデキストリンまたはでんぷんを用いていた。アウトカムは、脳波計測による客観的な評価と質問紙による主観的な評価であった。試験の結果、入眠潜時、ノンレム睡眠潜時、ノンレム睡眠時間、レム睡眠時間、中途覚醒頻度、睡眠効率、デルタ波量、ピッツバーグ睡眠質問票、VAS質問紙(眠りにつきやすさ)、VAS質問紙(起床時の気分)、VAS質問紙(睡眠の満足感)であった。入眠潜時、ノンレム睡眠時間、VAS質問紙(起床時の気分)のアウトカムについては、プラセボの摂取と比較してGABAの摂取に有意な効果が認められた
【科学的根拠の質】評価対象文献3報のバイアスリスクは「低(0)」、非直接性は「低(0)」、不精確は「低(0)」、非一貫性は「低(0)」、その他のバイアスは出版バイアスが生じている可能性が否定できないため「中/疑い(-1)」と判断した。エビデンスの強さは「中(B)」と判断した。採用文献3報において安全性に問題があるという記述はなかった。 |