【標題】機能性関与成分GABAの摂取による睡眠の質向上機能に関する研究レビュー(定性的システマティックレビュー)
【目的】本研究の目的は、P:健常者に対して、I:GABA含有食品を経口摂取することにより、C:プラセボ食品の経口摂取と比較して、O:睡眠の質向上機能がみられるか評価を行うことである。
【背景】現代社会では不規則な生活リズムや長時間労働など様々な要因により、良好な睡眠を確保しづらい環境にある。睡眠の質は、睡眠時間だけでなく、睡眠覚醒リズムの状態など多面的に評価され、健康的な生活を送る上で重要な要素である。また近年の睡眠に関する多くの研究により、睡眠の質の低下がQOLの低下や高血圧、うつ病などの進行と関係していることが報告されている。GABAは野菜や米などに含まれるアミノ酸の一種で、睡眠改善作用を持つことが報告されている。さらに、GABAを摂取することで、睡眠の質向上機能を有することが報告されている。これらの背景を踏まえ、健常者がGABAを摂取することで、睡眠の質向上機能がみられるか、研究レビューを実施し検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】5つの電子データベースを使用し、GABAを用いて睡眠の質向上機能について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。評価項目「睡眠感(VAS評価)」「ノンレム睡眠時間」のデータを調査し評価を行った。
【主な結果】採用論文2報において、いずれかの評価項目「睡眠感(VAS評価)」「ノンレム睡眠時間」(増加が有効)で、GABA摂取群が睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を向上する方向で有意な結果を示していることが確認された。
【科学的根拠の質】本研究の限界としては、十分な研究データが得られなかったため、メタアナリシスが実施されていないことが挙げられる。また、英語および日本語の論文のみを抽出対象としていることから、言語バイアスについて否定できないことが挙げられる。ただし、バイアスリスクが疑いであるものの、「睡眠感(VAS評価)」「ノンレム睡眠時間」において、採用論文2報のうち半数を上回る論文でプラセボ群と比較して有意差が認められたことから、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を向上する機能について、GABAの介入は有効であり、エビデンス総体の確実性は「高」と判断した。
【標題】機能性関与成分GABAの摂取による血圧低下機能に関する研究レビュー(定性的システマティックレビュー)
【目的】本研究の目的は、P:健常者(正常高値血圧者を含む)およびⅠ度高血圧者に対して、I:GABA含有食品を経口摂取することにより、C:プラセボ食品の経口摂取と比較して、O:血圧低下機能がみられるか評価を行うことである。
【背景】厚生労働省の患者調査によると、日本の高血圧性疾患患者数は、令和2年時点で1,511万人にも上る。高血圧が進み、動脈硬化状態になると、狭心症や心筋梗塞、心不全などに進行するリスクが増え、さらには脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を引き起こすと言われている。GABA(γ-アミノ酪酸)は野菜や米などに含まれるアミノ酸の一種で、血圧低下作用を持つことが報告されている。さらに、GABAを摂取することで、血圧低下機能を有することが報告されている。これらの背景を踏まえ、健常者(正常高値血圧者を含む)およびⅠ度高血圧者がGABAを摂取することで、血圧低下機能がみられるか、研究レビューを実施し検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】5つの電子データベースを使用し、GABAを用いて血圧低下機能について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。評価項目「収縮期血圧」「拡張期血圧」のデータを調査し評価を行った。
【主な結果】採用論文15報のうち10報において、評価項目「収縮期血圧」「拡張期血圧」(低下が有効)で、GABA摂取群が血圧を低下する方向で有意な結果を示していることが確認された。正常高値血圧者を対象とした層別分析においても、収縮期血圧と拡張期血圧において半数以上の研究でプラセボ群との有意差が認められた。
【科学的根拠の質】本研究の限界としては、論文間の異質性が高く、メタアナリシスが実施されていないことが挙げられる。また、英語および日本語の論文のみを抽出対象としていることから、言語バイアスについて否定できないことが挙げられる。ただし、バイアスリスクが疑いであるものの、「収縮期血圧」「拡張期血圧」において、採用論文15報のうち10報でプラセボ群と比較して有意差が認められたことから、血圧低下機能について、GABAの介入は有効であり、エビデンス総体の確実性は「高」と判断した。
【標題】機能性関与成分GABAの摂取によるストレスおよび疲労感緩和機能に関する研究レビュー(定性的システマティックレビュー)
【目的】本研究の目的は、P:健常者に対して、I:GABA含有食品を経口摂取することにより、C:プラセボ食品の経口摂取と比較して、O:ストレスおよび疲労感緩和機能がみられるか評価を行うことである。
【背景】現代社会はストレス社会と言われることもあるほどストレスを抱えやすい状況にあり、近年では生活環境の変化に伴い、ストレスの原因も多様化し、ストレスの増加が顕著となっている。令和4年の労働安全衛生調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる労働者の割合は82.2%に上り、8割以上の労働者がストレスを抱えながら労働している実態が明らかとなっている。また、ストレスによる健康障害として疲労感があり、ストレス負荷がかかることで神経伝達効率の低下などが生じ、疲労感や集中力の低下の原因となる。GABAは野菜や米などに含まれるアミノ酸の一種で、ストレス緩和作用、疲労感緩和作用を持つことが報告されている。さらに、GABAを摂取することで、ストレスおよび疲労感緩和機能を有することが報告されている。これらの背景を踏まえ、健常者がGABAを摂取することで、ストレスおよび疲労感緩和機能がみられるか、研究レビューを実施し検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】5つの電子データベースを使用し、GABAを用いてストレスおよび疲労感緩和機能について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。評価項目「ストレス指標」「疲労感(VAS)」のデータを調査し評価を行った。
【主な結果】採用論文3報のうち2報において、いずれかの評価項目「ストレス指標」「疲労感(VAS)」(低下が有効)で、GABA摂取群がストレスおよび疲労感を緩和する方向で有意な結果を示していることが確認された。
【科学的根拠の質】本研究の限界としては、十分な研究データが得られなかったため、メタアナリシスが実施されていないことが挙げられる。また、英語および日本語の論文のみを抽出対象としていることから、言語バイアスについて否定できないことが挙げられる。ただし、バイアスリスクが疑いであるものの、「ストレス指標」「疲労感(VAS)」において、採用論文3報のうち半数を上回る論文でプラセボ群と比較して有意差が認められたことから、ストレスおよび疲労感緩和機能について、GABAの介入は有効であり、エビデンス総体の確実性は「高」と判断した。 |