「納豆菌由来ナットウキナーゼ」【血圧低下機能】
(ア)標題
機能性関与成分納豆菌由来ナットウキナーゼの摂取による血圧低下機能に関する研究レビュー
(イ)目的
研究レビューにより、「血圧が高めの者(正常高値血圧者またはⅠ度高血圧者)を対象に、プラセボの経口摂取と比較して、国内外の論文を検索・調査し、科学的根拠を評価した。
(ウ)背景
現在、日本において生活習慣病の増加が問題となっており、高血圧もその一つである。高血圧が進むと、心不全等の心疾患や脳出血等の脳血管障害等のリスクが高まる。納豆菌由来ナットウキナーゼには、血小板凝集抑制作用や血流改善効果も報告されており、主にサプリメント(顆粒、カプセル状など)等の食品として摂取することで、血圧が高めの者(正常高値血圧者またはⅠ度高血圧者)の血圧を低下させる機能があることが報告されている。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
国内外の文献データベースから納豆菌由来ナットウキナーゼと血圧に関係する研究があるか検索した。目的に沿った研究は、3.97㎎(2000FU)の被検食を用いたランダム化比較試験を行った研究が2報あったため、その論文について評価した。
(オ)主な結果
上記論文では1日あたり3.97㎎(2000FU)の納豆菌由来ナットウキナーゼ原料を含むソフトカプセルを、血圧が高めの者(正常高値血圧者またはⅠ度高血圧者)が摂取する事によって、プラセボ摂取群と比較して有意な結果を示していることが確認された。
(カ)科学的根拠の質
バイアスリスクについては、症例減少バイアスとして、脱落例がみられた研究が2報あったが、その他に研究結果に影響を与えるバイアスリスクは少ないと考えられる。非直接性については低いと判断した。出版バイアスについては、メタアナリシスを実施していないため、バイアス自体を否定することはできないが、未報告研究は確認されず、その他研究結果に影響を与える要因も認められなかったことから、低いと判断した。
「EPA・DHA」【血中中性脂肪を低下させる機能】
(ア)標題
エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取による血中中性脂肪値(以下、中性脂肪値)低下の機能性に関する研究レビュー
(イ)目的
疾病に罹患していない健常成人男女および中性脂肪値がやや高め(正常高値域)の成人男女(P)がEPA・DHAを継続摂取した場合(I)とプラセボを継続摂取した場合またはEPA・DHA介入なし(非摂取)(C)で、中性脂肪値を低下させるか(O)を評価した。
(ウ)背景
EPA・DHA含有の本届出食品を機能性表示食品として販売するにあたり、疾病に罹患していない健常成人男女および中性脂肪値がやや高めの成人男女において、EPA・DHAの摂取が中性脂肪値を低下させる効果を持つかについて検証した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:PICOに従い、英語および日本語のランダム化比較試験(RCT)の査読付き論文を対象とした。文献の発表された期間は特に制限しなかった。主要評価項目は中性脂肪値とし、健常成人(正常高値者を含む)を対象とした。
(オ)主な結果
採用された5報の文献の詳細について、対象者はすべて健常成人男女(正常高値者を含む)であり、プラセボ摂取またはEPA・DHA介入なし(非摂取)群に対して介入群の中性脂肪値が有意に低下または低下傾向であった。介入群の EPA・DHAの摂取量は総量で182mg~ 6000mg /日であった。
(カ)科学的根拠の質
バイアスリスクとして、3報でランダム化の方法、5報で割付の隠蔵についての詳細な記載が不足しており、1報でFAS、3報でPPSを使用している文献が見られた。また、その他のバイアスとして、被験物製造企業の従業員が含まれること、出版バイアスの可能性が考えられた。以上のバイアスリスクは否定できないものの、採用した5報すべてで中性脂肪値低下に対する肯定的な結果が得られており、エビデンス総体に影響する重大なリスクはないと判断した。
「EPA・DHA」【中高齢健常者における認知機能の維持機能】
(ア〉標題
EPA・DHAを用いた中高齢健常者における認知機能の維持に関する研究レビュー(定性的研究レビュー)
(イ) 目的
中高齢健常者(MCIを含む)に対して(P)、EPA・DHA含有食品を経口摂取することにより(I)、プラセボ食品の経
口摂取と比較して(C)、認知機能を維持する機能がみられるか(O)評価を行う。
(ウ) 背景
超高齢社会である現在の日本において、加齢に伴う認知機能の低下は大きな問題となっている。特定の食品成分を摂取することにより、認知機能を維持・改善するといった機能性に関する多くの研究が進められている。EPA・DHAについても認知機能の維持に有益であることが報告されていることから、研究レビューを実施することは有意義なことと思われる。
(エ) レビュー対象とした研究の特性
疾病に罹患していない健常者(軽度認知障害を含む)を対象としてEPA・DHAの摂取による認知機能への有効性を検討している試験報告を調べた。採用された15報のうち1報の採用論文において日本人を対象としており、対照群は全てプラセボ食品を用いていた。採用された論文において、認知機能に関する評価指標が同一でなく研究毎の異質性が高いこと、メタアナリシスを実施するための十分な研究データが得られなかったことから、メタアナリシスによる定量的な統合および追加的解析については実施しなかった。
(オ) 主な結果
15報のRCT論文が抽出され、11報でEPA・DHA摂取群がいずれかの評価項目(「記憶力」「注意力」「判断力」)において、認知機能を維持する方向で有意な結果を示していることが確認された。EPA・DHAには、1日摂取目安量として434mg以上摂取することにより記憶力を維持する機能、603.2mg以上摂取することによって注意力・判断力を維持する機能、1,200mg以上摂取することによって空間認識力を維持する機能があると判断した。
(カ)科学的根拠の質
各アウトカムに関して、バイアスリスクに多少の懸念があることを除いてエビデンスの質は高いと判断した。本研究における結果の限界・問題点としては、定的レビューのみ実施しており、メタアナリシスによる検証がなされていない。これにより「非一貫性」「その他出版バイアスなど」に関する基準が明確となっていないことが挙げられる。 |