標題:GABA(ギャバ)による睡眠の質の改善の機能性に関するシステマティックレビュー
目的:
日本人の健常成人を対象とし、GABA(ギャバ)(以下、GABAと略す)配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、睡眠の質を向上する効果に違いがあるかを検証することを目的とした。
背景:
GABAの摂取はストレスの緩和されたリラックス状態にすることで眠りの質を改善することが期待された。改めてその効果を検証するため研究レビューを行った。
レビュー対象とした研究の特性:
2020年6月4日にそれまでの期間を対象として3つのデータベースで検索を行った。対象は健常成人とし、プラセボ群との比較試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は2報であった。利益相反について、特に問題となるものはなかった。
主な結果:
GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、①脳波測定による睡眠状態の客観的評価、②主観的評価(目覚めた時の気分)の解析について比較した。結果、GABAを100mg経口摂取することで、GABAを配合しない食品を摂取した時と比べて、①、②の項目で睡眠の質(睡眠の深さ)を向上する効果が確認された。
科学根拠の質:
採用文献はいずれも日本人を対象としたものであった。研究レビューに使用した論文の研究方法の偏り(バイアス)が疑われ、また出版バイアスは否定できない。しかしながら、いずれも本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、評価した論文は直接的な科学的根拠として問題のないものであった。総合的に判断してこれらの論文の質は高く効果を裏付けるものであり、エビデンスの強さも高いことから、科学的根拠の質は十分と判断した。
標題:GABAのストレスおよび疲労感の緩和効果に関する研究レビュー
目的:
日本人の健常成人を対象とし、GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、仕事や勉強などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果に違いがあるかを検証することを目的とした。
背景:
GABAには一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果が示唆されているが、改めてその効果を検証するため研究レビューを行った。
レビュー対象とした研究の特性:
2017年10月20日に2017年10月までの期間を対象として4つのデータベースで検索を行い、ハンドサーチでも検索を行った。対象は日本人の健常成人とし、プラセボ群との比較試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は6報であった。利益相反について、記述がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。
主な結果:
GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、①精神的ストレスがかかると増加する唾液中成分のクロモグラニンAとコルチゾールの増減、②リラックス状態で増加する脳波のα波と精神的ストレス下で増加する脳波のβ波、③主観的評価(疲労感)、④心電図から分析されたリラックス状態(低ストレス)の解析について比較した。結果、GABAを28mg~100mg経口摂取することで、GABAを配合しない食品を摂取した時と比べて、①~④の項目で一時的な精神的ストレスや疲労感の緩和効果が確認された。
科学根拠の質:
6報全ての研究で対象となった健常成人は全て日本人と思われた。研究レビューに使用した論文の研究方法の偏り(バイアス)が疑われ、出版バイアスは定量的に判断していないため、バイアスが疑われた。しかしながら、ほぼすべての論文で、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、評価した論文は直接的な科学的根拠として問題のないものであった。総合的に判断してこれらの論文の質は高く効果を裏付けるものであり、エビデンスの強さも高いことから、科学的根拠の質は十分と判断した。
標題:
GABAの血圧降下効果に関する研究レビュー
目的:
日本人で血圧が正常または血圧が高めの健常成人およびⅠ度高血圧者に、8週間以上GABAを含む食品を経口摂取させると、GABAを含まない対照品を摂取した場合と比べて、血圧を下げる機能があるかを評価した。
背景:
現代社会において、生活習慣病は大きな問題となっている。生活習慣病の1つ、高血圧に関して、平成26年の国民健康・栄養調査によれば、日本人の19.6%が高血圧とされている。高血圧は心筋梗塞や脳卒中など重篤な病気を引き起こす要因となるため、日常から正常な血圧を維持することが重要とされる。GABAは血圧が高めの人の血圧を下げ、正常な血圧を維持する効果が示唆されており、改めてその効果について検証するため、本研究レビューを行った。
レビュー対象とした研究の特性:
2016年9月28日に2つのデータベースにある2016年までの全期間を対象として検索を行った。レビュー対象は日本人で血圧が正常または血圧が高めの健常成人およびⅠ度高血圧者とし、プラセボ群との比較試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は10報あった。利益相反について、記述がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。
主な結果:
血圧状態は収縮期および拡張期血圧を指標として評価された。その結果、GABAとして1日あたり12.3 mg~120 mgを摂取することにより、対照品を摂取した時と比べて、血圧が高めの健常成人およびⅠ度高血圧者に対して血圧を下げる効果が認められた。Ⅰ度高血圧者を除き健常成人のみで評価した場合、正常高値血圧者に対して血圧を下げる効果が認められた。正常血圧者に対しては、GABAは血圧を下げることがなく、正常な血圧のままであった。
科学根拠の質:
10報における研究の妥当性や信頼性を調べたところ、10報全ての研究で日本人の健常成人およびⅠ度高血圧者を対象としており、GABAを含む食品であった。研究方法の偏り(バイアス)は総合的に低いと判断されたが、出版バイアスは、定量的な判断をしていないため不明であり、バイアスの疑いが残ると判断された。10報中1報で効果なしと判断されたが、効果ありとする研究の方が多い事から一貫性は認められた。総合的に判断してこれらの論文の質は高く、効果を裏付けるものであったので、科学的根拠の質は中程度と判断した。
(構造化抄録) |