<腸内環境改善>
【標題】酪酸菌(Clostridium butyricum以下酪酸菌と記す)及び3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(以下、HMPA)配合食品摂取による腸内環境改善効果の検討。
【目的】排便が週5日以下の健常な日本人男女を対象として、酪酸菌 及びHMPA配合食品を継続的に摂取することにより、酪酸菌及びHMPA配合食品を摂取しない場合(プラセボ)と比較して、腸内環境が改善するかどうかの検証を目的としました。
【背景】近年肉食中心の食生活・外出自粛の要請・テレワークの推進などで高脂肪低食物繊維の食事や運動不足・不規則な生活やストレス環境下におかれています。なかでも野菜不足と運動不足に起因するとされる便秘を訴える人は年々増加し、女性の2人に1人は便秘であるといわれています。短鎖脂肪酸の一つである酪酸は大腸粘膜上皮のエネルギー源として活用され、良質な腸内細菌叢(腸内フローラ)を作るのに必須です。酪酸などの短鎖脂肪酸の腸内での生成を促進することができれば、腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善につながり、さらに便通改善にもつながると考えられます。酪酸菌や短鎖脂肪酸による腸内環境や便通に関する報告はあるものの、酪酸菌とHMPAの併用による効果に関する報告はありません。
【方法】BMI20以上30未満で20~65歳以下の健常な日本人男女を対象として、試験品摂取群16名(男5、女11)、プラセボ群15名(男5、女10)を設定し、腸内環境・腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善効果を確認するために、試験品摂取群には酪酸菌14.0mg/日(1,400万個/日)及び米ぬか発酵物由来HMPA 11.5mg/日を12週継続摂取させ、プラセボ群には当該成分は摂取させませんでした。評価項目はメタゲノム解析(腸内細菌推移)、メタボローム解析(短鎖脂肪酸)を設定し、排便状況を日誌で確認するランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験にて行いました。また、試験期間中の副作用の有無も確認しました。本試験は届出者が外部試験機関に依頼し資金提供の上実施しました。
【主な結果】8週摂取後に試験品群はプラセボ群と比較して酪酸菌、酪酸産生菌であるCoprococcus、12週摂取後には酪酸菌(Clostridium butyricum)の腸内細菌の有意な増加ならびに、酪酸・酢酸の産生促進が認められました。また、主観評価の便通の爽快感で有意な改善が認められました。本試験において安全性には問題はありませんでした。
【科学的根拠の質】本試験は、妥当性や信頼性が十分に得られるように、事前にUMIN-CTRに実験計画を登録した上で実施しました。症例減少バイアスが懸念されますが、その他のバイアスは低く、日本人成人を対象とした試験であることから日本人への外挿も問題なく、試験方法もランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、科学的根拠の質は高いと考えられます。
【標題】酪酸菌およびHMPA配合食品摂取による腸内環境改善効果の検討:「便秘気味な健常者」についての再解析結果
【目的】上記臨床試験から,「便の回数」のみが多い被験者を除き、「便秘気味な健常者」をピックアップして再解析し、便の量、回数および便通時の爽快感を改善するかどうかを検証の目的としました。
【背景】排便回数が多い人は比較的良好な腸内環境を維持していることが想定されるが、排便回数が少ない人の腸内環境は相対的に悪く、その改善が求められていることが想定される。上記臨床試験の平均より排便回数が多い方を除いて再解析を行い、より排便の悩みが深い便秘気味な健常者に対する本品の影響を追加検討することは有意義と思われる。
【方法】上記臨床試験の解析対象は試験品摂取群16名(男5、女11)、プラセボ群15名(男5、女10)の男女31例であったが、うち摂取開始前の便の回数が摂取前から全対象の平均回数より多かった9名を除き、試験品摂取群13名(男4、女9)、プラセボ群9名(男4、女5)の男女22例の2群で再解析を行いました。
【主な結果】この解析において、試験品摂取群はプラセボ群と比較して、便の量・回数は4、8、12週後に有意な改善が,便通の爽快感では4 週に有意傾向、8、12 週に有意な改善が認められました。
【科学的根拠の質】本試験は、妥当性や信頼性が十分に得られるように、事前にUMIN-CTRに実験計画を登録した上で実施しました。症例減少バイアスが懸念されますが、その他のバイアスは低く、日本人成人を対象とした試験であることから日本人への外挿も問題なく、試験方法もランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、科学的根拠の質は高いと考えられます。
<体重、体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)改善>
【標題】酪酸菌及びHMPA配合食品摂取による体重、体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)改善効果の検討。
【目的】BMI23以上30未満で20~65歳以下の健常な日本人男女を対象として、酪酸菌及びHMPA配合食品を継続的に摂取することにより、酪酸菌及びHMPA配合食品を摂取しない場合(プラセボ)と比較して、体重、体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)低減の機能性が得られるかどうかの検証を目的としました。
【背景】近年感染症の流行により、厚生労働省からは外出自粛の要請、テレワークの推進等感染拡大防止策が発表されています。このような環境下の人々のライフスタイルの変化は、運動機会の損失並びに一人で食事をすることによる栄養摂取の偏りなどの問題が生じ、それにより運動不足や体重の増加に悩む人が増えてきました。2020年5月にテレワーク勤務者350人に対して行ったアンケート調査によるとその4割が体重の増加傾向を認識しています。
短鎖脂肪酸である酪酸、酢酸やプロピオン酸は健康を維持する多くの生理作用があるといわれており、中でも酪酸は大腸粘膜上皮のエネルギー源として活用され、良質な腸内細菌叢(腸内フローラ)を作るのに必須です。腸内細菌叢(腸内フローラ)は未消化食物成分を代謝し、栄養成分を供給するとともに代謝レセプターにも関与し脂質代謝や脂肪蓄積に影響を与えることが相次いで報告されています。すなわち、酪酸などの短鎖脂肪酸の腸内での生成を促進することができれば、腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善につながり、さらに脂質代謝や脂肪蓄積の改善にもつながると考えられます。脂質代謝や脂肪蓄積の改善に関する酪酸菌や短鎖脂肪酸、HMPAそのものでの代謝に関する報告はあるものの、酪酸菌とHMPAの併用による効果に関する報告はありません。
【方法】酪酸菌及びHMPA配合食品の体重、体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)低減効果をランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験にて行いました。また、副次アウトカムとして、主観評価及び血糖値を含む理学検査を実施しました。
BMI 23以上30未満で20~65歳以下の健常な日本人男女を対象として、試験品摂取群16名(男6、女10)、プラセボ群14名(男8、女6)を設定し、体重、体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)の低減効果を確認するために、試験品摂取群には酪酸菌 14.0mg/日(1,400万個/日)及びHMPA 11.5mg/日を12週継続摂取させ、プラセボ群には当該成分は摂取させませんでした。評価項目は体重・BMI・体脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)・ウエスト周囲径・体脂肪率などを設定し、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験にて行いました。また、試験期間中の副作用の有無も確認しました。本試験は届出者が外部試験機関に依頼し資金提供の上実施しました。
【主な結果】12週摂取後に試験品群はプラセボ群と比較して体重・BMI・体脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)・ウエスト周囲径・体脂肪率に有意差が認められました。また、主観評価では体の軽さで有意な改善が、洋服サイズで有意傾向が認められました。安全性には問題はありませんでした。
【科学的根拠の質】本試験は、妥当性や信頼性が十分に得られるように、事前にUMIN-CTRに実験計画を登録した上で実施しました。症例減少バイアスが懸念されますが、その他のバイアスは低く、日本人成人を対象とした試験であることから日本人への外挿も問題なく、試験方法もランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、科学的根拠の質は高いと考えられます。 |