■「認知機能の一部である記憶力(覚え思い出す力)を維持する」機能に関する評価
【標題】
DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンによる認知機能の維持に関するシステマティックレビュー
【目的】
健常成人を対象として、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンを含む食品を摂取することにより、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンを含まない食品を摂取した場合と比較して、認知機能を維持するか検証する。
【背景】
超高齢社会の日本において、加齢に伴う認知機能の低下は社会問題となっている。健常高年齢者を対象とした臨床試験において、DHA、EPAやARA(アラキドン酸)の摂取により認知機能を改善することが報告されている。また、ルテインやゼアキサンチンは抗酸化、抗炎症作用が知られ、脳組織へ補給されることが確認されていることから、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンの5成分を含む食品を摂取することにより、認知機能の維持につながると考えられる。しかしながら、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンの5成分を含む食品の摂取による認知機能への影響を検証した研究レビューは報告されていない。
【レビュー対象とした研究の特性】
健常成人が、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンの5成分を含む食品を摂取することより、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)、ルテイン、ゼアキサンチンの5成分を含まない食品を摂取した場合と比べて、認知機能を維持するか検証した研究を検索した。
検索日は、2023年7月19日で、データベースの開設あるいは搭載されている最初の時点から最終検索日までを検索対象期間とし、英文及び日本語の文献を対象とした。最終的に採用した文献数は1報であり、研究デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であった。
【主な結果】
一日当たりDHA 300 mg、EPA 100 mg、ARA(アラキドン酸) 120 mg、ルテイン 10 mg、ゼアキサンチン 2 mgを含む食品を摂取することにより、健康な高年齢者について、認知機能の一部である記憶力(覚え思い出す力)の維持が期待できると考えられた。
【科学的根拠の質】
評価した文献は、国内・海外の主要な文献データベースから抽出した査読付き論文であった。しかしながら、対象者が限定的であったことや一部のバイアスリスクを考慮すると、今後の研究動向を継続的に観察しさらなる検証の必要があると考えられた。
■「認知機能の一部である注意力(重要な物事に素早く気づける力、複数の物事に注意を払える力)を維持する」機能に関する評価
【標題】
DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)による認知機能の維持に関するシステマティックレビュー
【目的】
健常成人を対象として、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含む食品を摂取することにより、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含まない食品を摂取した場合と比較して、認知機能を維持するか検証する。
【背景】
超高齢社会の日本において、加齢に伴う認知機能の低下は社会問題となっている。健常高年齢者を対象とした臨床試験において、DHA、EPAやARA(アラキドン酸)の摂取により認知機能を改善することが報告されていることから、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)の3成分を含む食品を摂取することにより、認知機能に対し望ましい影響を与える可能性が考えられる。しかしながら、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含む食品の摂取による認知機能への影響を検証した研究レビューは報告されていない。
【レビュー対象とした研究の特性】
健常な日本人成人が、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含む食品を摂取することにより、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含まない食品を摂取した場合と比べて、認知機能を維持するかを検証した研究を検索した。
検索日は2023年3月29日で、データベースの開設あるいは搭載されている最初の時点から最終検索日までを検索対象期間とし、英文及び日本語の文献を対象とした。最終的に採用した文献数は1報であり、研究デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であった。
【主な結果】
一日当たりDHA 300 mg、EPA 100 mg、ARA(アラキドン酸) 120 mgを含む食品を摂取することにより、脳波事象関連電位P300潜時(※)の変動が認められた。このことから、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含む食品の摂取は、健康な高年齢者の認知機能の一部である注意力(重要な物事に素早く気づける力、複数の物事に注意を払える力)を維持すると考えられた。
(※)注意機能はP300潜時で評価され、P300潜時は注意機能の中でも特に選択的注意及び分配的注意の指標と考えられる。
【科学的根拠の質】
評価した文献は、国内・海外の主要な文献データベースから抽出した査読付き論文であった。しかしながら、本研究レビューは1報1研究のみで実施したことやその他のバイアスリスクを考慮すると、今後の研究動向を継続的に観察しさらなる検証の必要があると考えられた。
■「前向きな気分(頭がさえわたること、活気がわいてくることなど)を維持する」機能に関する評価
【標題】
DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)による気分の改善に関するシステマティックレビュー
【目的】
健常な日本人成人が、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含む食品を摂取することにより、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含まない食品を摂取した場合と比較して、気分を改善するか検証する。
【背景】
超高齢社会の日本において高齢者のこころの健康を維持することは、社会生活を営むために必要な機能を維持するために重要であると考えられている。こころの状態は、例えばProfile of Mood States(POMS)(※)などにより気分として評価されるが、DHA、EPAやARA(アラキドン酸)の摂取によりPOMSで評価される気分のうち、活気のスコアが改善することが報告されている。しかしながら、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)の3成分を含む食品の摂取による気分への影響を検証した研究レビューは報告されていない。
(※)日本人において妥当性が得られ学術的に広くコンセンサスが得られている気分の評価指標
【レビュー対象とした研究の特性】
健常な日本人成人が、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)の3成分を含む食品を摂取することにより、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)を含まない食品を摂取した場合と比べて、気分を改善するかを検証した研究を検索した。
検索日は2023年3月29日で、データベースの開設あるいは搭載されている最初の時点から最終検索日までを検索対象期間とし、英文及び日本語の文献を対象とした。最終的に採用した文献数は1報であり、研究デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であった。
【主な結果】
一日当たりDHA 300 mg、EPA 100 mg、ARA(アラキドン酸) 120 mgの3成分を含む食品を摂取することにより、POMS活気スコアの有意な増加が認められた。このことから、DHA、EPA、ARA(アラキドン酸)の3成分を含む食品の摂取は、前向きな気分(頭がさえわたること、活気がわいてくることなど)を維持すると考えられた。
【科学的根拠の質】
評価した文献は、国内・海外の主要な文献データベースから抽出した査読付き論文であった。しかしながら、本研究レビューは1報1研究のみで実施したことやその他のバイアスリスクも考慮すると、今後の研究動向を継続的に観察しさらなる検証の必要があると考えられた。 |