3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸 (HMPA)(腹部脂肪の減少に及ぼす影響に関する研究レビュー)
【背景と目的】肥満は多くの疾病に深くかかわるため、過剰な脂肪の増加を抑制することが望ましいと考えられる。3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(以下、HMPA)は、ポリフェノールに分類される成分で、研究により、抗肥満効果に作用すると報告があることから、BMI が高めの方がHMPAを継続摂取した場合の腹部脂肪面積に及ぼす影響に関する有効性に関して、本レビューを実施した。【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを使用して英語及び日本語の文献を検索し、基準に該当したランダム化比較試験の文献1報を採用した。採用文献は健康な20歳以上を対象に、日本で実施された試験で、HMPAを含む被験食品を摂取し、対照食品の摂取を対照とした。【主な結果】腹部の脂肪に及ぼす影響において、HMPAを1日あたり23mg摂取することで、腹部総脂肪面積の減少が認められた。【科学的根拠の質】糖や脂肪を消費しやすくする作用によるエネルギー調節機能に基づくと考えられ、HMPAを1日あたり23mgの継続摂取により、腹部の脂肪を減らす機能が期待できると考えられた。限界として、採用文献が1報であるなどバイアス・リスクや出版バイアスが否定できない。今後さらなる臨床研究が進むことを期待する。
GABA(デスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感の緩和効果に関する研究レビュー)
【背景・目的】日常生活における精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な精神的ストレスや疲労感に対してGABA摂取の機能性の検証を目的とし、本届出品の機能性について検討するため、本研究レビューを行った。【レビュー対象とした研究の特性】外国語文献検索には、PubMed(1946年~2016年)、英語文献検索には、The Cochrane Library(1992年~2016年)のデータベースを用い2016年7月1日に検索を実施した。日本語文献は、医中誌Web(1977年~2016年)、J-DreamⅢ(1975年(医学情報は1981年)~2016年)のデータベースを用い2016年7月3日に検索を実施した。文献を精査し、健常な日本人成人を対象とし、GABAを摂取しない群と比較した試験デザインである7報の文献を評価した。利益相反に関して、申告がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。【主な結果】主観的疲労感(精神的ストレス)としてVASおよびPOMS、唾液中のコルチゾールおよびクロモグラニンA、さらに、脳波の変動、自律神経活動の各指標により精神的ストレスや疲労感を評価した。これらの指標は一時的な精神的ストレスや疲労感を評価する指標として広く用いられ、表示しようとする機能性を評価するのに適した指標である。結果は、28~100mgのGABAを摂取することで、GABAを摂取しない時と比較して、勉強や仕事などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果が確認された。なお、GABAの摂取による副作用などの有害事象の記載はみられなかった。【科学的根拠の質】最終調査対象とした論文のバイアス・リスクの評価では、採用論文7報中1報が中程度であり、他の6報は低度であった。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界として、報告数、被験者数ともに少ないことから、バイアスの存在が完全に否定できないことが考えられる。
GABA(睡眠の質改善機能に関する研究レビュー)
【背景・目的】ストレスは、睡眠に様々な影響を及ぼすことが知られている。本研究レビューでは、GABA摂取による日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)を改善する効果について、網羅的に検索し、機能性を検討することを目的とした。【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、精査をした結果、健康な成人男女を対象とし、GABA摂取時とプラセボ摂取時を比較した試験デザインであり、脳波(ノンレム睡眠時間)を評価している文献として、2報を採用し評価した。【主な結果】健康な成人男女に対するGABA摂取(100 mg/日)の効果として、採用文献2報で、深い睡眠時間の有意な増加(p<0.05)を示している。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合に、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3(最も深い眠り)の時間が、GABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して有意に増加した。被験者はいずれも健常な範囲の人であることから、GABAは、健康な成人男女において、睡眠の質(眠りの深さ)を向上させる機能を発揮すると評価した。【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文は低度であった。調査対象とした論文は査読を実施したRCT論文で、客観的評価指標である脳波であるため、科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界として、論文数が少ないこと、バイアスリスクが完全に否定できなかったことが挙げられる。
GABA(睡眠後の目覚めの質に関する研究レビュー)
【背景・目的】日常生活上、様々な場面で精神・身体的負荷を受け、その程度は増加傾向にある。本研究レビューでは、GABA摂取による日常生活における目覚めの質に対する効果について、網羅的に検索し、機能性を検討することを目的とした。【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、精査をした結果、健康な成人男女を対象とし、GABA摂取時とプラセボ摂取時を比較した試験デザインであり、VAS【feeling upon awakening】を評価している文献として、1報を採用し評価した。【主な結果】睡眠の質がやや低い健康な成人男女に対して、GABA(100 mg)を含むカプセルまたはプラセボを1週間摂取させる試験を実施した。その結果、VASによる目覚めの良さの評価において、プラセボ摂取群と比較して、GABA摂取群で有意(統計学上、偶然ではなく意味のある)な改善が認められた。なお、採用文献は日本人を対象とした試験であり、日本人への外挿性に問題は無いと判断した。【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文は低度であった。本レビューの限界として、論文数が少ないこと、バイアスリスクが完全に否定できなかったことが挙げられる。
GABA(肌弾力維持機能に関する研究レビュー)
【背景・目的】真皮にある弾性線維は、皮膚・動脈・肺などに多くあって、各臓器の伸縮性を担っており、加齢や紫外線などの影響によって弾性線維の劣化が報告されている。また弾性線維の低下による真皮層の菲薄化は、皮膚の脆弱性に繋がると考えられる。弾性線維の維持に役立つ食品を開発することは、国民の健康的な生活維持にきわめて重要である。本研究レビューは、健康な成人男女の肌弾力維持に対するGABAの機能性について検証することを目的とした。【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語のデータベースを検索・精査した結果、健康な成人を対象とし、GABAとプラセボを比較した試験であり、肌の弾性を評価している1報を採用し、評価した。【主な結果】採用文献は、健康女性に対して、乾燥する時期に、肌弾力へのGABA 摂取(100 mg/日)の効果を調査しており、GABA摂取群はプラセボ摂取群に比べて肌弾力低下が有意に緩和された(P<0.05)ことを報告している。肌弾力に関連する肌の構造は全身で共通であり、性差もないことから、GABAは肌の弾力を維持し、肌の健康を守るのを助ける機能があると評価した。【科学的根拠の質】採用文献が1報であるため出版バイアスは否定できず、肌弾力を測定した部位が頬のみであることから、今後さらなるエビデンスの蓄積が望まれる。しかし、採用文献はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の査読付き論文であり、評価指標も国内外において広く用いられている手法であることから、科学的根拠の質は問題ないと判断した。 |