機能性 |
【標題】
グルコシルセラミド含有食品の摂取による肌機能(保湿力)に関する研究レビュー(定性的研究レビューおよびメタアナリシス)
【目的】
健常者(肌の乾燥を自覚する者等を含む)を対象に、グルコシルセラミド含有食品 (食品形態は問わない)を摂取させたとき、プラセボ食品(配合内容は問わない)摂取群に比べ肌機能(保湿力)を維持・改善させる機能がみられるか、評価することを目的とした。
【背景】
角質の細胞間脂質の主成分であるセラミドは、角層の水分量を保持し、皮膚のバリア機能に寄与しているが、加齢とともに減少し、乾燥肌や肌荒れなどの原因となることが報告されている1)。セラミドの一種である米や小麦、こんにゃくなどに含まれる植物由来グルコシルセラミドにおいても、食品として摂取することで肌機能(保湿力)を維持・改善することが報告されている2-5)が、その研究報告はないため、定性的研究レビューおよびメタアナリシスを実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
5つの電子データベースを使用し、グルコシルセラミド含有食品を用いて肌機能(保湿力)について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した(最終検索日:2021年6月15日)。採用論文は全て健常者(乾燥を自覚する者等を含む)を対象としており、対照群はプラセボ食品を用いていた。採用論文9報全てにおいて、日本で臨床試験が実施されていた。評価項目「皮膚水分蒸散量」について、グルコシルセラミド摂取群と対照群(プラセボ摂取群)のデータについて調査・評価を行った。
【主な結果】
9報のRCT論文が抽出され、そのうち統計解析に必要なデータが得られた8報においてメタアナリシスによる定量的な統合を実施した結果、グルコシルセラミド摂取群が評価項目「皮膚水分蒸散量」において肌機能を維持・改善する方向で、プラセボ摂取群と比較して定性的・定量的に有意な結果を示していることが確認された。
本研究におけるグルコシルセラミドの1日あたりの摂取量は0.6mg~1.8mgであり、そのうち0.6mg~1.8mgの研究にて「皮膚水分蒸散量」でプラセボ摂取群との有意差がみられた。
【科学的根拠の質】
本研究レビューで得られたグルコシルセラミドの肌機能(保湿力)の維持・改善について、グルコシルセラミドの由来植物および食品性状に関係なく認められており、採用論文における成分と本届出食品中の機能性関与成分の同等性に問題ないと判断した。本研究の限界・問題点は、英語および日本語の論文のみを抽出対象としていることから、他の言語における本研究レビューに関連する論文の存在は否定できず、言語バイアスについて否定できない。
参考文献
1) Imokawa G et al., Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin? J Invest Dermatol; 96(4): 523-6(1991)
2) 平河 他., 米胚芽エキス配合粉末顆粒の摂取による全身の皮膚バリア機能に対する改善効果 薬理と治療 41巻11号 Page1051-1059(2013)
3) 宮西 他., こんにゃく芋由来グルコシルセラミドの経口摂取による肌のバリア性の向上 科学と工業 80巻9号 Page.411-416(2006)
4) 浅井 他., 植物性セラミドの塗布および経口投与による皮膚保湿効果とその評価 臨床病理 55(3), Page.209-215(2007)
5) Hori M et al., Double-Blind Study on Effects of Glucosyl Ceramide in Beet Extract on Skin Elasticity and Fibronectin Production in Human Dermal Fibroblasts Anti-Aging Medicine 7巻11号 Page129-142(2010) |