(1)「トマト由来食物繊維」の食後血糖値上昇抑制作用に関する科学的根拠
【標題】
トマト由来食物繊維による食後血糖値の上昇抑制作用に関するメタ分析を含むシステマティックレビュー
【目的】
トマト由来食物繊維を含む食品の摂取が、食後血糖値の上昇を抑制する作用を示すかを検証することを目的としました。
【背景】
トマト由来食物繊維には、食後血糖値の上昇を抑制する効果が期待されており、その研究が進められています。そこで、トマト由来食物繊維による食後血糖値の上昇抑制作用を検証することといたしました。
【レビュー対象とした研究の特性】
トマト由来食物繊維の摂取が、食後血糖値の上昇を抑制する作用を示すか検証した研究を、国内外のデータベースを使用して検索しました。対象者は疾病に罹患していない方(空腹時血糖値126 mg/dL未満)とし、トマト由来食物繊維を含む食品の摂取が、トマト由来食物繊維を含まないかトマト由来食物繊維の含量の少ない食品の摂取、もしくは何も摂取しない場合と比較して、食後血糖値や食後の血糖上昇曲線下面積(*1)に影響を与えるかを検証した研究を対象としました。2020年5月以前に発表された英語および日本語の文献を網羅的に集めた結果、3つの研究が条件を満たしていたため、この3研究をレビューの対象としました。
【主な結果】
レビュー対象とした3研究は、いずれも空腹時血糖値が126 mg/mL未満である健康な日本人を対象に実施された臨床試験の報告であり、一日当たり1.6~2.9 gのトマト由来食物繊維を含む食品を摂取することにより、食後血糖値や食後の血糖上昇曲線下面積の有意な低下が認められていました。また、3研究の結果を統合したメタ分析でも有意な低下が認められました。このことから、1.6 gのトマト由来食物繊維を含む食品の摂取は、糖の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を抑制する機能があると結論づけました。
【科学的根拠の質】
レビュー対象とした3研究は、いずれも概ね信頼できるものでした。トマト由来食物繊維摂取による食後血糖値の上昇抑制作用の一貫性は、評価項目によって異なるものの、総じて抑制する方向への変化が認められました。但し本調査には、対象となった個々の研究において、参加者の選定時にバイアスがなかったかどうかを厳密には評価できない、また論文化されていない試験がある等の研究の限界もあります。
(2)「トマト由来食物繊維」の食後血中中性脂肪上昇抑制作用に関する科学的根拠
【標題】
トマト由来食物繊維による食後血中中性脂肪上昇抑制作用に関するメタ分析を含むシステマティックレビュー
【目的】
トマト由来食物繊維を含む食品の摂取が、食後血中中性脂肪の上昇を抑制する作用を示すかを検証することを目的としました。
【背景】
トマト由来食物繊維には、食後血中中性脂肪の上昇を抑制する効果が期待されており、その研究が進められています。そこで、トマト由来食物繊維による食後血中中性脂肪の上昇抑制作用を検証することといたしました。
【レビュー対象とした研究の特性】
トマト由来食物繊維の摂取が、食後血中中性脂肪の上昇を抑制する作用を示すか検証した研究を、国内外のデータベースを使用して検索しました。対象者は疾病に罹患していない方(空腹時血中中性脂肪値150 mg/dL未満)とし、トマト由来食物繊維を含む食品の摂取が、トマト由来食物繊維を含まない食品の摂取、もしくは何も摂取しない場合と比較して、食後の血中中性脂肪値や血中中性脂肪上昇曲線下面積(*1)に影響を与えるかを検証した研究を対象としました。2022年9月以前に発表された文献を網羅的に集めた結果、2つの研究が条件を満たしていたため、この2研究をレビューの対象としました。
【主な結果】
レビュー対象とした2研究は、いずれも空腹時血中中性脂肪値が150 mg/mL未満である健康な日本人を対象に実施された臨床試験の報告でした。一日当たり1.6~3.2 gのトマト由来食物繊維を含む食品を摂取することにより、研究対象者のうち食後の血中中性脂肪値が高めの健康な方(食後血中中性脂肪値の最大値が200 mg/dL以上の方)において、食後の血中中性脂肪値や血中中性脂肪上昇曲線下面積の有意な低下が認められていました。また、2研究の結果を統合したメタ分析でも、血中中性脂肪最大変化量や血中中性脂肪上昇曲線下面積の有意な低下が認められました。このことから、1.6 gのトマト由来食物繊維を含む食品の摂取は、食後の血中中性脂肪値が高めの健康な方において、食後の脂肪の吸収を抑え血中中性脂肪の上昇を抑制する機能があると結論づけました。
【科学的根拠の質】
レビュー対象とした2研究は、いずれも概ね信頼できるものでした。トマト由来食物繊維摂取による食後血中中性脂肪上昇抑制作用の一貫性は、評価項目によって異なるものの、総じて抑制する方向への変化が認められました。但し本調査には、対象となった個々の研究において、参加者の選定時にバイアスがなかったかどうかを厳密には評価できない等の研究の限界もあります。
(3)「GABA」の血圧低下作用に関する科学的根拠
【標題】
GABAによる血圧低下作用に関するメタ分析を含むシステマティックレビュー
【目的】
GABAを含む食品の摂取が、血圧を低下させる作用を示すかを検証することを目的としました。
【背景】
GABAは野菜や果実、発酵食品などに多く含まれるアミノ酸の一種で、血圧低下作用を示すことが報告されています。届出者は、GABAを含む食品の摂取に血圧低下作用があるかを検証し、その結果をお客様へお伝えすることがお客様の健康増進のために大切であると考えました。
【レビュー対象とした研究の特性】
ヒトの血圧に対するGABAの作用が記載されている研究論文について、バイアスを避けながら、血圧低下作用の有無や程度を深く、詳しく評価しました。対象者は疾病に罹患していない方(未成年者、妊産婦及び授乳婦を除く)としました。但し、血圧に関しては、血圧が正常の方(正常血圧者)、血圧が高めの方(正常高値血圧者)に加えて、軽症者(I度高血圧者)も対象としました(*2)。このような方に対して、GABAを含む食品の摂取が、GABAを含まない食品の摂取と比較して、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の低下作用を示すかを検証しました。また、論文として報告されている研究の妥当性と信頼性を評価しました。
【主な結果】
調査によって18編の研究論文が抽出されました。このうち12編の研究論文には、統計学的な解析方法であるメタ分析に使用出来ない明確な理由があったため、残りの6編の研究論文に示された結果についてメタ分析を行いました。その結果、1日あたり12.3 mgのGABAを12週間摂取することは、正常血圧者の血圧には影響を与えず、正常高値血圧者とI度高血圧者に対して血圧を低下させる作用があることが明らかとなりました。また、軽症者(I度高血圧者)を除いて解析したところ、血圧が高めの方(正常高値血圧者)のみでも同様に血圧を低下させる作用があることが明らかとなりました。
【科学的根拠の質】
全体を通して、解析に使用した研究は概ね信頼できるものでした。複数の論文から得られた結果の違いは小さく、GABAの血圧低下作用に関する情報には一貫性があると考えました。但し本調査には、対象となった個々の研究論文において、参加者の選定時にバイアスがなかったかどうかを厳密には評価できない、等の研究の限界もあります。
(*1)時間経過に伴う血糖値や血中中性脂肪値の増加量の推移から算出した面積を指し、食品摂取による糖や脂肪の吸収量の指標として用いられています。
(*2)正常血圧者はSBPが130 mmHg未満かつDBPが85 mmHg未満の方、正常高値血圧者はSBPが130~139 mmHg又はDBPが85~89 mmHgの方、I度高血圧者はSBPが140~159 mmHg又はDBPが90~99 mmHgの方のことです。 |