《ルテイン・ゼアキサンチン》
【標題】ルテインおよびゼアキサンチン摂取による視覚機能改善効果に関するシステマティックレビュー
【目的】健康な成人男女にルテインおよびゼアキサンチンを摂取させると、プラセボ群と比較し、視覚機能改善効果がみられるかと設定し、網羅的な文献検索を行い、合理的根拠を集める。
【背景】これまでルテイン、ゼアキサンチンの視覚機能改善効果に関する文献は複数報告されているが、健康な成人男女を対象とした研究レビューではない。
【レビュー対象とした研究の特性】PubMed、Cochrane Library database、JDreamIIIを用い、ランダム化比較試験(RCT)の文献を網羅的に検出し、最終的に抽出された文献は1報であった。
【主な結果】健康な成人男女がルテイン10㎎/日およびゼアキサンチン2㎎/日を摂取した場合、目の黄斑色素密度が上昇、紫外線・ブルーライトなどの光の刺激からの保護や、ぼやけ・かすみを軽減、くっきり見る力(コントラスト感度)を改善する効果があると考える。
【科学的根拠の質】評価の対象は比較的質の高い臨床試験とされているランダム化比較試験(RCT)であり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。試験の対象が日本人でなく、米国の大学生であったが、日本人へのルテインの介入で血中ルテイン濃度が上昇し、黄斑色素密度を上昇させることが報告されていること、目の使用に対する生活環境が日本と米国は類似していることから、日本人に対しての介入も乖離は少なく、同等の結果が得られると考えられる。
《EPA・DHA》
<中性脂肪値を下げる機能>
【標題】EPA・DHAを用いた中性脂肪値の低下機能に関する研究レビュー
【目的】疾病に罹患していない健常成人および中性脂肪値がやや高めの者がEPA・DHAの摂取で、中性脂肪値が低下するかを検証した。
【背景】EPA・DHAは魚介類に多く含まれ、日本人にとっては長い食経験のある成分である。近年、魚介類を食べる量の減少とともに、EPA・DHAの摂取量が減っていると考えられている。
【レビュー対象とした研究の特性】疾病に罹患していない健常成人および中性脂肪値がやや高めの者を対象とし、EPA・DHAの有効性を検討している試験報告を調べた。さらに、疾病に罹患していない者のみに限定した場合や、対象者が日本人のみの場合についても調べた。
【主な結果】本研究レビューにより、EPA・DHAの摂取量の総量として1日当たり182㎎~5,960㎎摂取することで、中性脂肪値が低下することが期待できるものと判断した。
【科学的根拠の質】本研究レビューの限界は、英語と日本語のみを検索キーワードとしたため、他言語で書かれている文献が調査されていない。しかし、複数の研究報告およびメタアナリシスでEPA・DHAの摂取により中性脂肪値が低下することが支持されているので、科学的根拠は十分であると判断した。
<中高年の方の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である記憶力を維持する機能>
【標題】EPA・DHAを用いた健常人における記憶力の維持に関する研究レビュー
【目的】健常人に対し、EPA・DHAを含んだ食品を摂取することで、記憶力を維持する作用がみられるか検証した。
【背景】高齢化が急速に進む現在の日本で、加齢に伴う認知機能の低下は大きな問題となっている。記憶力の低下には、特に食生活の面からは栄養成分の摂取が影響していると言われている。魚に含まれる成分であるEPA・DHAの摂取は記憶力の維持に有効ではないかと報告されている。
【レビュー対象とした研究の特性】疾病に罹患していない40歳以上の健常人(認知症ではないとされている「軽度認知障害」の人も含む)を対象にEPA・DHAの記憶力に関する有効性評価を行った研究を調査した。さらに、対象者が日本人のみの場合についても調査した。
【主な結果】本研究レビューにより、EPA・DHAを1日当たり434mg以上摂取することで、中高年の方の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である記憶力の維持が期待できると判断した。
【科学的根拠の質】本研究レビューの限界として、メタアナリシス(複数の研究の結果を統合する統計解析)による検証がされていないことが挙げられる。しかし、複数の研究報告で認知機能の一部である記憶力を維持する作用が支持されていることから、科学的根拠は十分であると判断した。
《ヒハツ由来ピペリン類》
<冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢の皮膚表面温度の低下を軽減する機能>
【標題】ヒハツ由来ピペリン類摂取による冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢の皮膚表面温度の低下を軽減する機能に関する定性的研究レビュー
【目的】健康な方に対するヒハツ由来ピペリン類の摂取効果を、プラセボとの比較で検証した研究をレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
【背景】ヒハツは香辛料等として利用され、成分としてピペリン類を含む。TRPV1を活性化する作用から、冷えによって低下する血流(末梢血流)や皮膚表面温度の維持に役立つと推測されるが、ヒトでの有効性を包括的に整理する研究レビューはなかった。したがって、健康な方がヒハツ由来ピペリン類を摂取した場合の冷えによる血流(末梢血流)および皮膚表面温度の低下を軽減する効果について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行った。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を研究レビューの対象とした。
【主な結果】上記文献は健康な日本人成人女性が、ヒハツ由来ピペリン類120μg含有ヒハツ抽出物の摂取で、プラセボを摂取した場合と比較し、冷水負荷後の末梢血流量および手(末梢)の皮膚表面温度が統計学的に有意に高くなっており(p<0.05)、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手)の皮膚表面温度の低下を軽減する効果が認められていた。
【科学的根拠の質】ヒハツ由来ピペリン類(120μg)の摂取は、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手)の皮膚表面温度の低下を軽減する機能があることが確認された。採用した文献は1報のみで、非一貫性や出版バイアスの精査には至らなかったが、日本人対象のランダム化比較試験の報告であることから信頼性は高いと考えられた。
<病的ではない一過性のむくみを軽減する機能>
【標題】ヒハツ由来ピペリン類摂取による病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する機能に関する定性的研究レビュー
【目的】健康な方に対するヒハツ由来ピペリン類の摂取効果を、プラセボとの比較で検証した研究をレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
【背景】ヒハツは香辛料等として利用され、成分としてピペリン類を含む。一過性の脚のむくみの低減に役立つ報告はあるが、ヒトでの有効性を包括的に整理する研究レビューはなかった。したがって、健康な方がヒハツ由来ピペリン類を摂取した場合の病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する効果について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行った。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を研究レビューの対象とした。
【主な結果】上記文献は脚のむくみを自覚する健康な日本人成人女性が、ヒハツ由来ピペリン類120μg含有ヒハツ抽出物の摂取で、プラセボを摂取した場合と比較し、むくみの評価指標である体水分に対する脚の細胞外水分の比の、座位負荷による上昇を統計学的に有意に抑制しており(p=0.013)、一過性の脚のむくみを軽減する効果が認められていた。
【科学的根拠の質】ヒハツ由来ピペリン類(120μg)の摂取は、病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する機能があることが確認された。採用した文献は1報のみで、非一貫性や出版バイアスの精査には至らなかったが、日本人対象のランダム化比較試験の報告であることから信頼性は高いと考えられた。 |