<膝関節の動きをサポートする機能>
(ア)標題
カツオ由来エラスチンペプチドの摂取による健常成人の膝関節機能の改善作用
(イ)目的
健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することによって、膝関節機能の改善に役立つかを検証することを目的とした。
(ウ)背景
エラスチンはゴムのように伸縮性に富むタンパク質であり、ヒトの組織や臓器(皮膚、動脈、靭帯など)に弾力性を与えている。エラスチンは、膝の靭帯の構成成分であり、靭帯の張力を保ち関節を支持・安定化するのに役立っているが、加齢とともにエラスチンが変性・減少し、靭帯機能や張力低下の原因の一つと予測される。エラスチンについて経口摂取による膝関節への効果をまとめたレビューはない。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
日本語及び外国語文献のデータベースを用いて、健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することで、膝関節機能が改善するかを検証した並行群間比較試験を検索し、合致するものを対象とした。
(オ)主な結果
採用文献によると、膝関節痛の自覚症状はあるが、変形性膝関節症などの疾病がない45歳以上75歳以下の健常成人(日本人)男女が、カツオ由来エラスチンペプチド75(mg/日)またはプラセボを12週間持続して経口摂取したところ、日本版変形性膝関節症患者機能評価表(JKOM)のスコア評価により、「膝の痛みやこわばり」、「日常生活の状態」、「普段の活動」に関する設問の合計点について、エラスチン群では12週間後にプラセボ群と比較して、有意な改善が認められた(p<0.05)。本レビューによって、ひざ関節に違和感を持つ健康な中高年がカツオ由来エラスチンペプチドを75(mg/日)経口摂取することで、膝関節の動きの悩みを緩和する機能が期待できると判断した。
(カ)科学的根拠の質
本レビューの限界として、出版バイアスの可能性や未発表データが存在する可能性は否定できない点が挙げられるが、研究の収集は科学技術および医療分野の主要なデータベースを使用しているため、公開されている当該研究はほぼ網羅されていると判断した。今後更に質の高い研究成果が報告されることが望ましいが、採用文献は査読付き論文であり、日本人を対象とした信頼性の高い変形性膝関節症患者のQOL評価法として認められているJKOMによる評価を行っていることから、科学的根拠の質は機能性評価に値すると考えた。
<血管のしなやかさ維持に役立つ機能>
(ア)標題
カツオ由来エラスチンペプチドの摂取による健常成人の血管機能の改善作用
(イ)目的
健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することによって、血管機能の改善に役立つかの検証を目的とした。
(ウ)背景
エラスチンはゴムのように伸縮性に富むタンパク質であり、ヒトの組織や臓器(皮膚、動脈、靭帯など)に弾力性を与えている。エラスチンは動脈では中膜に多く存在し、血圧及び血流の拍動を緩衝するのに役立っている。しかし、加齢により中膜のエラスチンが減少し、血管はしなやかさ(柔軟性)を失うことが報告されている。エラスチンは血管機能に重要な役割を担っているが、経口摂取による血管機能への効果をまとめたレビューはない。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
日本語及び外国語文献のデータベースを用いて、健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することで、血管機能が改善するかを検証した並行群間比較試験を検索し、合致するものを対象とした。
(オ)主な結果
採用文献によると、血管弾性を表す数値(上腕足首間脈波伝播速度)が各年代及び性別における基準範囲内であり、40歳以上64歳以下の疾病を患っていない健康な日本人男性及び女性を対象に、カツオ由来エラスチンペプチド75mg/日(エラスチン群)またはプラセボ(プラセボ群)を16週間持続して経口摂取させることで、エラスチン群ではプラセボ群と比較して血管弾性、血管内皮機能および体感(手足の冷え、腰痛、疲れやすさ、目の疲れ、イライラ感、物忘れ)が有意に改善した。本レビューによって、健常者がカツオ由来エラスチンペプチド75mg/日を経口摂取することで、加齢とともに低下する血管のしなやかさ(血管を締め付けた後の血管の拡張度)維持に役立つ機能を期待できると判断した。
(カ)科学的根拠の質
本レビューの限界として、出版バイアスの可能性や未発表データが存在する可能性は否定できない点があるが、研究の収集は科学技術および医療分野の主要なデータベースを使用しているため、公開されている当該研究はほぼ網羅されていると判断した。今後更に質の高い研究成果が報告されることが望ましいが、採用文献は査読付であり、人間ドックなどに用いられ学術的にも信頼性のある検査法を用いているため、科学的根拠の質は機能性評価に値すると考えた。
<肌の健康維持に役立つ機能>
(ア)標題
カツオ由来エラスチンペプチドの摂取による健常者の肌弾力、肌の水分量及び血流などの肌状態に対する機能性に関する研究レビュー
(イ)目的
健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することによって、肌状態の改善に役立つかの検証を目的とした。
(ウ)背景
エラスチンはゴムのように伸縮性に富むタンパク質であり、ヒトの組織や臓器(皮膚、動脈、靭帯など)に弾力性を与えている。エラスチンは肌の弾力やハリを保つのに役立っている。しかし、加齢や紫外線により肌のエラスチンが減少・変性し、肌弾力が低下して肌がたるむことが報告されている。肌弾力の低下は肌水分量や肌血流の低下などにも影響する。エラスチンは肌において重要な役割を担っているが、経口摂取による肌状態への効果をまとめたレビューはない。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
日本語及び外国語文献のデータベースを用いて、健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することで、肌状態が改善するかを検証した並行群間比較試験を検索し、合致するものを対象とした。
(オ)主な結果
採用文献によると30歳以上50歳以下の疾病を患っていない健康な日本人男性及び女性を対象に、カツオ由来エラスチンペプチド75mg/日(エラスチン群)またはプラセボ(プラセボ群)を経口摂取させることで、エラスチン群では肌弾力性、肌水分量、肌血流(末梢血流)、肌状態に関する体感及びキメ(個数)が有意に改善した。肌弾力性や肌水分量などに関連する肌の構造は全身で共通であることから、本レビューによって、肌の乾燥が気になる健常者がカツオ由来エラスチンペプチド75mg/日を経口摂取することで、肌の弾力を維持し、肌のうるおいを守ることで肌の健康維持に役立つ機能を期待できると判断した。
(カ)科学的根拠の質
本レビューの限界として、出版バイアスの可能性や未発表データが存在する可能性は否定できない点があるが、研究の収集は科学技術および医療分野の主要なデータベースを使用しているため、公開されている当該研究はほぼ網羅されていると判断した。肌状態を評価した部位が頬のみであることから、今後もエビデンスの蓄積が望まれる。また、更に質の高い研究成果が報告されることが望ましいが、採用文献は査読付であり、信頼性のある検査法を用いているため、科学的根拠の質は機能性評価に値すると考えた。 |