【標題】難消化性デキストリンの食後血糖値の上昇抑制作用の評価
目的:健康な成人(血糖値が高め人を含む)を対象として、難消化性デキストリン摂取後の血糖値を測定した論文を網羅的に調査することにより、血糖値の上昇抑制作用を評価しました。
背景:食生活の欧米化や運動不足などにより、我が国では糖尿病などの生活習慣病が増加しており、極めて深刻な問題のひとつとなっています。糖尿病にならないためには、食事や運動により血糖値をコントロールすることが非常に重要であり、特に食後の血糖値は糖尿病の指標として注目されています。そこで、食後の血糖値の増加を抑えることが知られている難消化性デキストリンの効果についてレビューを行いました。
レビュー対象とした研究の特性:健康な成人または血糖値が高めの成人を対象として、食事とともに難消化性デキストリンを摂取した後の血糖値を測定している臨床試験を国内外の4つのデータベースを用いて検索しました(2015年1月まで)。43報の臨床試験が見つかりました。
主な結果:食後30分、60分の血糖値および食後2時間までに吸収された量(血中濃度曲線下面積)は、難消化性デキストリン摂取により、対照群と比較して低い値を示したことから、難消化性デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制作用が確認されました。また、血糖値が正常な成人だけを対象とした論文でも同様に血糖値の抑制作用が認められました。
科学的根拠の質:レビューの対象とした論文は信頼性が高いとされている試験(ランダム化比較試験)であり、論文数も43報と多く、各論文の結果には一貫性がありました。科学的根拠の質は高いと評価されました。効果のない論文が公表されていない可能性もありますが、公表されていない論文があることを想定した場合も効果が認められたことから、重大な影響はないと判断されました。
【標題】難消化性デキストリンの食後血中中性脂肪の上昇抑制作用の評価
目的:健康な成人または血中中性脂肪がやや高めの成人に対する難消化性デキストリンの食後の血中中性脂肪の上昇抑制作用に関する文献を網羅的に調査することにより評価しました。
背景:食後に血中中性脂肪値の高い状態が長時間継続することは、動脈硬化や冠動脈疾患の発症を早める危険因子であることが知られおり、食後の血中中性脂肪を下げることは、健康の維持に寄与すると考えられます。そこで、食後の中性脂肪値を低下させることが知られている難消化性デキストリンの効果についてレビューを行いました。
レビュー対象とした研究の特性:健康な成人または空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満のやや高めの成人を対象として、食事とともに難消化性デキストリンを摂取した後の血中中性脂肪値を測定している臨床研究を国内外の4つのデータベースを用いて検索しました(2015年6月まで)。9報の臨床試験が見つかりました。
主な結果:食後2時間、3時間、4時間の血中中性脂肪値および食後6時間までに吸収された脂肪量(血中濃度曲線下面積)は、対照群と比較して、難消化デキストリン摂取により低い値を示し、9つの研究を合わせた結果から、難消化性デキストリンの摂取により、食後の血中中性脂肪値の上昇が抑制される作用が示されました。また、健康な成人だけを対象とした場合でも血中中性脂肪値の抑制が認められました。
科学的根拠の質:レビューの対象とした9報の論文は信頼性が高いとされている試験(ランダム化比較試験)であり、各論文の結果には一貫性がありました。総人数は321~470人と十分な人数でした。被験者の群分け方法の記載のない論文や被験者が途中で脱落している論文があり、効果に影響を与えている可能性があります。また、効果のない論文が公表されていない可能性もありますが、未公表の論文を想定した場合も効果が認められたことから、重大な影響はないと判断されました。
【標題】難消化性デキストリンの整腸作用の評価
目的:健康な成人または便秘傾向の成人に対する難消化性デキストリンによる整腸作用に関する文献を網羅的に調査することにより評価しました。
背景:排便が滞るなど消化器官が正常に活動できなくなると、健康状態に関係する生活の質(QOL)が低下します。そこで、整腸作用が知られている難消化性デキストリンの効果についてレビューを行いました。
レビュー対象とした研究の特性:健康な成人または便秘傾向の成人を対象として、難消化性デキストリンを摂取した後の排便回数、排便量を測定している臨床研究を国内外の4つのデータベースを用いて検索しました(2015年1月まで)。26報の臨床試験が見つかりました。1報は1つの論文内で2つの研究が報告されており、評価対象研究数は27研究でした。
主な結果:27研究の内26研究の排便回数は、対照群と比較して、難消化デキストリン摂取により高い値を示しました。27研究の内24研究の排便量は、対照群と比較して、難消化デキストリン摂取により高い値を示しました。27研究を合わせた結果から、難消化性デキストリンの摂取により、排便回数および排便量が増加し、整腸作用が示されました。
科学的根拠の質:レビューの対象とした26報の論文は信頼性が高い研究(ランダム化比較試験)であり、総人数も1,104人と十分な数でした。被験者が途中で脱落している論文などがあり、効果に影響を与えている可能性があります。また、効果のない論文が公表されていない可能性もありますが、未公表の論文を想定した場合も効果が認められたことから、重大な影響はないと判断されました。 |