安全性 |
当該製品は、機能性関与成分としてモノグルコシルヘスペリジンを含有します。モノグルコシルヘスペリジンを関与成分とする特定保健用食品として、2018年5月時点で粉末清涼飲料、清涼飲料水、炭酸飲料、しょうゆ加工品の形態で12品目が許可承認されており、複数の特定保健用食品において食品安全委員会にて安全性評価がなされ、安全性に問題がないと判断されています。また、既存の安全性情報として以下の安全性試験の報告が確認されています。
1.急性毒性試験・反復投与試験
ラットを用いた急性毒性試験、4週および13 週間の連続摂取試験、胚毒性・催奇形性試験、変異原性試験を実施し、いずれも有害事象は確認されていません。
2.無影響量
ラットにおける無影響量は13週の摂取でオス3,084 mg/kg/day, メス3,428 mg/kg/dayでした。
3.ヒトにおける過剰摂取試験・長期摂取試験
モノグルコシルヘスペリジンの過剰摂取試験(1,030 mg /日、4週間継続摂取)を行った結果、有害事象は認められていません。また、長期摂取(340 mg/day, 24週間)の試験においても有害事象は認められていません。
(考察)
ラットにおけるモノグルコシルヘスペリジンの無影響量をヒト(体重60 kg)に換算すると、男性で185.0 g/day, 女性で205.7 g/dayに相当します。また、ヒトにおける過剰摂取試験のモノグルコシルヘスペリジン1,030 mg/dayと比較すると、当該製品の1日摂取目安量に含まれる機能性関与成分量は十分に低いと言えます。これらの結果から、モノグルコシルヘスペリジンの安全性は高く、モノグルコシルヘスペリジン配合の当該製品の安全性に関しても問題ないと判断しました。ただし、注意喚起として「1日あたりの摂取目安量をお守りください。」と表示しています。
なお、当該製品に含まれる機能性関与成分モノグルコシルヘスペリジンは、販売実績のある特定保健用食品の関与成分と同じく㈱林原で製造されており、同等性に問題はないと判断しました。 |
機能性 |
①「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」に関する評価
(ア)標題
モノグルコシルヘスペリジンの血圧を低下させる機能に関する研究レビュー
(イ)目的
モノグルコシルヘスペリジンの経口摂取が、血圧が正常高値からⅠ度高血圧の成人の血圧を下げる効果について、総合的に評価しました。
(ウ)背景
モノグルコシルヘスペリジンは、ヘスペリジン(柑橘類に含まれるポリフェノールの一種)の水溶性と吸収性を高めたものであり、血圧を低下させる効果について報告がありますが、その有効性を評価した報告はありません。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
複数の論文データベースから、関連文献を調査・収集しました。事前に設定した適格基準をもとに、血圧が正常高値からⅠ度高血圧の成人を対象としたモノグルコシルヘスペリジンを摂取する試験で、血圧について評価した臨床研究3報を採用し、機能性の根拠となり得るかを総合的に検証しました。
(オ)主な結果
文献3報を定性的レビューの対象としました。いずれもプラセボを対照としたRCT研究であり、血圧が正常高値からⅠ度高血圧の成人がモノグルコシルヘスペリジンを摂取すると、血圧が低下する効果が認められました。さらに、健常者(正常高値血圧者)でも同様の効果が確認されました。これらを総合的に評価した結果、エビデンスの強さは中程度であり、1日当たりモノグルコシルヘスペリジン17.9 mg以上の摂取が、血圧が正常高値からⅠ度高血圧及び、健常(正常高値血圧者)な成人の高めの血圧を低下させることに有効であると判断しました。
(カ)科学的根拠の質
評価の結果、選択バイアス(偏り)や出版のバイアス等の可能性は否定できませんが、評価指標が主観の入らない血圧であり、採用文献は肯定的な有効性に一貫性が認められたことから、機能性の根拠になり得ると判断しました。一方、採用文献数が3報と少なく、今後更なるエビデンスの蓄積が望まれますが、本研究レビューで認められたモノグルコシルヘスペリジンの機能は、年齢や性別を問わず血圧が高めな方に広く適用できると考えます。したがって、当該製品が想定する主な対象者であるⅠ度高血圧の成人において、研究レビューと同様の効果が期待でき、この有効性に関する見解が大きく変更される可能性は低いと考えます。
②「血流(末梢血流)を改善し、体温(末梢体温)を維持する機能」に関する評価
(ア)標題
モノグルコシルヘスペリジンの血流改善および皮膚温度改善機能について
(イ)目的
本研究レビューは、健康な方がモノグルコシルヘスペリジンを経口摂取することにより、プラセボ(モノグルコシルヘスペリジンを含まない食品)と比較して「皮膚血流量が改善するか」または「皮膚温度が改善するか」を検証することを目的としました。
(ウ)背景
ヘスペリジンは、温州みかんやオレンジなどの柑橘類に多く含まれるポリフェノールの一種です。モノグルコシルヘスペリジンはヘスペリジンの水溶性と吸収性を高めたものであり、皮膚の血流や体温を改善する効果が報告されています。そこで、今回これらの機能について文献を網羅的に調査し、科学的な根拠を総合的に評価しました。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
2016年8月11日に、それまでに公表された日本語と英語の文献を調査しました。健康な成人を対象とした臨床試験で、モノグルコシルヘスペリジン摂取とプラセボ摂取の比較により、皮膚血流量と皮膚温度について評価した論文を選抜しました。2つの論文を採用しました。
(オ)主な結果
健康な女性を対象として、15℃の冷水で手を冷やした後の手指の血流量、体温を回復する効果と22℃の部屋で60℃の温かい飲料を摂取した後の手指、足先の血流量と体温の低下を抑制する効果が認められました。以上のことから、モノグルコシルヘスぺリジン178~340 mg/日の摂取により、末梢血流と末梢体温が改善または維持されることがわかりました。
(カ)科学的根拠の質
評価した論文は信頼性が高いとされている試験(ランダム化比較試験)であり、各論文の結果は一貫していました。未公表の論文がある可能性や結果に偏りがある可能性があり、論文数が2つと少なく、今後、男性を含めた幅広い年齢層を対象とした研究結果の蓄積が必要など、いくつかの制約がありますが、一定の科学的な根拠はあると判断しました。 |