【標題】プーアール茶由来没食子酸が血糖値が気になり始めた健常成人、あるいは肥満気味な健常成人に対して食後の血糖値の上昇を穏やかにする機能や、体脂肪(内臓脂肪)を減らす作用があることを検証する。
【目的】血糖値が気になり始めた健常成人、あるいは肥満気味な健常成人がプーアール茶由来没食子酸を含む食品を摂取し、1)食後の血糖値の上昇が気になる方の食後の血糖値の上昇を穏やかにする、2)体脂肪(内臓脂肪)を減らす機能があるかを確認する。
【背景】近年、食生活の欧米化や慢性的な運動不足によって、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病が広まってきている。また、平均余命の延長によって超高齢化社会になる中で健康寿命の延伸もまた喫緊の課題となっている。そこで食後の血糖値の上昇と体脂肪(内臓脂肪)に着目し、これらに対応した商品の開発を行うこととした。
「黒プーアル茶ティーバッグ」にはプーアール茶由来没食子酸を含まれているが、プーアール茶のティーバッグはすでにファミリーレストランでも広くしようされており、安全性にも問題ないことが考えられた。
そこで、このプーアール茶由来没食子酸について、健常成人によるヒト試験を対象にシステマティックレビューを実施し、メタアナリシス解析を行うこととした。
【レビュー対象とした研究の特性】
1)食後の血糖値の上昇抑制作用について
プラセボ食品を用いたランダム化した健常成人(空腹時血糖値126 mg/dL未満)によるヒト試験(RCT)を、PubMed、Cochrane Library、医中誌Webの3つのデータベースを用いて検索を行った。検索されたRCTの論文について、「食後血糖値30分、60分、および食後血糖値の濃度曲線下面積値(AUC)」の3項目について評価を行った。
2)体脂肪(内臓脂肪)を減らす機能について
プラセボ食品を用いたランダム化した健常成人によるヒト試験(RCT)を、PubMed、Cochrane Library、医中誌Webの3つのデータベースを用いて検索を行った。検索されたRCTの論文について、体脂肪(内臓脂肪)、BMIの変化を長期摂取による変化について評価を行った。。データベースを用いて文献を検索し、論文を精査したところ、採用論文は1報であった。
【主な結果】
1)食後の血糖値の上昇抑制作用について
採用論文は1報のみであったが、無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で実施しており、信頼性の高い研究論文であった。
健常成人男女を対象とし、米飯食を摂取する前にプーアール茶由来没食子酸18 mg/回を摂取させた結果、プラセボ摂取時と比較して、食後60、90、120分後の血糖値および食後血糖値AUC、食後血糖変化量AUC(IAUC)の有意な低減が認められた。
2)体脂肪(内臓脂肪)を減らす機能について
採用論文は1報のみであったが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験で実施しており、信頼性の高い研究論文であった。
健常成人男女を対象とし、プーアール茶由来没食子酸を毎日27.0 mgを12週間長期摂取する、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した。その結果、BMIでは摂取開始8、12週間後において、また体脂肪(内臓脂肪)では12週間後において、プラセボ摂取群と比較してプーアール茶由来没食子酸摂取群は、有意に低かった。
【科学的根拠の質】
1)食後の血糖値の上昇抑制作用について
健常成人において、プーアール茶由来没食子酸18.0mg/回の摂取が、食事の糖の吸収を抑えて、食後血糖値の上昇を抑える機能を有することが示された。ただし、本研究の限界として、出版されていない未公表研究がある可能性も否定できない。また、採用論文が1報であったため、今後、さらに新しい研究の報告がないか引き続き注視が必要である。
2)体脂肪(内臓脂肪)を減らす機能について
プーアール茶由来没食子酸27.0 mg/日摂取群では、プラセボ群との比較して、8、12週間後において有意に低下していた。また、腹部周囲径と内臓脂肪量の値も、試験食品12週間摂取により低下したことから、体脂肪(内臓脂肪)を減らす効果のあることがわかった。ただし、本研究の限界として、出版されていない未公表研究がある可能性も否定できない。また、採用論文が1報であったため、今後、さらに新しい研究の報告がないか引き続き注視が必要である。
【科学的根拠の質】
本、科学的レビューでは十分な被験者による評価がなされており、否定的な結果に終わった未発表の研究があったとした場合においても、本結論が否定されることはないと考えられた。ただし、追加的研究結果により研究レビューの結果に影響を与える可能性は否定できないため、今後も継続した調査が必要と考えている。 |