【モノグルコシルヘスペリジン】
(1)血流改善および皮膚温度改善機能
(ア) 標題
モノグルコシルヘスペリジンの血流改善および皮膚温度改善機能について
(イ) 目的
本研究レビューは、健康な方がモノグルコシルヘスペリジンを経口摂取することにより、プラセボ(効果がないと考えられる疑似食品)の経口摂取と比較して「皮膚血流量が改善するか」または「皮膚温度が改善するか」を検証することを目的として行いました。
(ウ) 背景
ヘスペリジンは、温州みかんやオレンジなどの柑橘類に多く含まれるポリフェノールの一種です。モノグルコシルヘスペリジンはヘスペリジンの水溶性と吸収性を高めたものであり、手足など末梢部分の血流改善効果や、体温維持効果が報告されています。今回はこれらの効果について総合的に調査しました。
(エ) レビュー対象とした研究の特性
2018年8月20日に、それまでに公表された日本語の文献と英語の文献を調査しました。健常人を対象にした試験で、モノグルコシルヘスペリジンとプラセボ摂取の比較により皮膚血流量と皮膚温度について評価した臨床研究を選抜しました。選抜された文献について、総合的に機能性の根拠となるか検証しました。結果、2件の文献を採用しました。
(オ) 主な結果
採用文献から、モノグルコシルヘスペリジン178~340 mg/日の摂取は、寒冷条件において皮膚血流量および皮膚温度を改善することが明らかになりました。具体的には、寒冷負荷試験により15℃の冷水で手を冷やした後に末梢血流量、末梢体温が回復する効果が認められました。また、60℃の飲料摂取後にやや肌寒く感じる部屋(22℃)に滞在した時の末梢の血流量低下および体温低下を遅延する効果も認められました。
(カ) 科学的根拠の質
採用文献は健常な女性を対象としていました。幅広い年齢層の男女対象の試験も今後必要ですが、これまでに性差・年齢による効果の違いは報告がないため、届出食品が想定する主な対象者である健康な成人にも、研究レビューと同様の効果が期待されます。採用文献が2件であることから定性的なレビューとなり、各種バイアス(サンプリング、パブリケーション)の可能性は否定できませんが、評価の指標である皮膚血流量と皮膚温度は主観の入らないレーザー血流量計及びサーモグラフィーによる評価であり、結果に影響はないと判断しました。また、評価した文献は信頼性の高いRCT試験であるため、科学的根拠の質は機能性の評価に値すると考えられます。
(2)血圧低下機能
(ア) 標題
モノグルコシルヘスペリジンの血圧低下機能について
(イ) 目的
本研究レビューは、健康な方がモノグルコシルヘスペリジンを経口摂取することにより、プラセボ(効果がないと考えられる疑似食品)の経口摂取と比較して「血圧が低下するか」を検証することを目的として行いました。
(ウ) 背景
ヘスペリジンは、温州みかんやオレンジなどの柑橘類に多く含まれるポリフェノールの一種です。モノグルコシルヘスペリジンはヘスペリジンの水溶性と吸収性を高めたものであり、血圧を低下させる機能が報告されています。今回はこの機能について総合的に調査しました。
(エ) レビュー対象とした研究の特性
2016年4月30日に、それまでに公表された日本語の文献と英語の文献を調査しました。健常人を対象にした試験で、モノグルコシルヘスペリジンとプラセボ摂取の比較により血圧について評価した臨床研究を選抜しました。選抜された文献について、総合的に機能性の根拠となるか検証しました。結果、2件の文献を採用しました。
(オ) 主な結果
採用文献から、モノグルコシルヘスペリジン17.9~35 mg/日の摂取は、プラセボと比較して血圧を低下させることが明らかになりました。具体的には、血圧が正常高値からやや高めの方を対象として、モノグルコシルヘスペリジンを35 mg配合した減塩醤油を1日15 ml、12週間摂取した結果、プラセボと比較して血圧が有意に低下しました。また、モノグルコシルヘスペリジンを17.9 mg配合した減塩醤油を1日10 ml、12週間摂取した結果、プラセボと比較して血圧が有意に低下しました。
さらに、健常者のみを対象として層別解析した結果においても、プラセボと比較して有意に血圧を低下させる機能があることを確認しました。
(カ) 科学的根拠の質
採用文献は健常な成人男女を対象としていました。届出食品が想定する主な対象者は健康な成人であり、研究レビューと同様の効果が期待されます。採用文献が2件であることから定性的なレビューとなり、各種バイアス(偏り)の可能性は否定できませんが、評価の指標は主観の入らない血圧であるため、結果に影響はないと判断しました。また、評価した文献は信頼性の高いRCT試験であることから、科学的根拠の質は機能性の評価に値すると考えられます。
【有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)】
(ア) 標題
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)の便通改善効果に関する研究レビュー
(イ) 目的
健常成人に対して、有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)を摂取することにより、プラセボ摂取時と比較して便通が改善するか明らかにするため、研究レビューを行いました。
(ウ) 背景
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)は、1949年に緑麦芽から分離され、1966年に食品用として販売を始めました。以来、便通改善目的でも使用されていますが、これまで健常者に対する有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)の便通の改善機能を検証した研究レビューは報告されていません。
(エ) レビューを対象とした研究の特性
2018年11月13日に検索を実施しました。対象期間及び対象集団は指定していません。最終的に評価対象とした論文は1報で、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験で実施されていました。また、利益相反はありませんでした。
(オ) 主な結果
リサーチクエスチョンと適格基準に適合するエビデンスとして1報の文献を採用しました。採用文献では、排便回数が比較的少ない(週3~5回)健常成人男女60名を対象に、有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)を1億個含むカプセルを、1日1回、2週間連続摂取した際の、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施していました。具体的には排便回数や排便日数、町内フローラパターンを評価した試験で、便通改善の効果が認められました。健常成人に対して、有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)を1日1億個、連続摂取することにより、便通を改善する効果が期待できます。
(カ) 科学的根拠の質
日本語・英語以外の言語に対する出版バイアスや、症例減少バイアスの疑いが残されています。また、評価した論文は1報であり、研究間での結果のばらつき等が評価できないなどの問題は残りますが、採用した論文はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、その他の試験でも内容を支持する結果が得られていることから、今後の研究により現在の結果が大きく変わる可能性は低いと考えられます。 |