1.黄斑色素量を増やす
【標題】
マリーゴールド色素由来の機能性関与成分ルテイン摂取による黄斑色素光学密度に対する機能性に関する研究レビュー
【目的】
成年健常人がルテインを摂取した場合に網膜の黄斑色素を増やす効果があるかについて、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
ルテインは黄斑を中心とする眼の網膜に蓄積し、ブルーライトなどから眼を守る光フィルターあるいは抗酸化物質として期待され、広く利用されてきた。しかしながら、成年健常人が眼の健康維持を目的としてルテインを摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2016年2月2日に2015年12月までに報告された論文から抽出した、日本人を含む18-70才の健常人男女を対象としたルテインを摂取し、ルテインの血中濃度あるいは黄斑の色素量を測定している9件の質の高い臨床試験を評価の対象とした。
【主な結果】
成年健常人がルテインを摂取することにより、ルテインの血中濃度が上昇し、網膜にある黄斑の色素量も増加することが明らかとなった。また、視覚の中核を担う黄斑や網膜に蓄積したルテインはブルーライトなどの光ストレスから網膜を守ることが強く示唆されている。なお、ルテインの摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験であり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。また、ルテインは人の体内で生合成されず、食物等から摂取したルテインが生体内に吸収され、血液中から網膜部分にルテインが移行するメカニズムはほぼ解明されている。以上のことから、本レビューの結果が覆るような新たな知見が報告される可能性は低いと考えられる。一方で、ルテインは緑黄色野菜や卵などの一般的な食品に含まれる成分であるため、食事等でルテインを十分量摂取している場合は本研究レビューの結果は反映されない可能性がある。
2.コントラスト感度を改善する
【標題】
マリーゴールド色素由来の機能性関与成分ルテイン摂取によるコントラスト感度に対する機能性に関する研究レビュー
【目的】
成年健常人がルテインを摂取した場合にコントラスト感度を改善する効果があるか、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
ルテインは黄斑を中心とする眼の網膜に蓄積し、ブルーライトなどから眼を守る光フィルターあるいは抗酸化物質として期待され、広く利用されてきた。しかしながら、成年健常人がコントラスト感度の維持や改善を目的としてルテインを摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2016年2月3日に2015年12月までに報告された論文から抽出した、アジア人を含む18-70才の健常人男女を対象としたルテインを摂取し、ルテインの血中濃度およびコントラスト感度を測定している3件の質の高い臨床試験を評価の対象とした。
【主な結果】
コントラスト感度は色の濃淡や見ているものの輪郭を判別することによって、見ているものがくっきりと見えているかを確かめる指標であり、コントラスト感度が低下すると視覚の対象物がかすんで見えたり、見えにくく感じることがある(ぼやけ)。成年健常人がルテインを摂取することにより、コントラスト感度が改善する(物がぼやけて見えたり、見えにくく感じることを改善して、くっきりと物を見る力を改善する)ことが明らかとなった。ルテインの摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験であり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。また、食物等から摂取したルテインが網膜部分に移行してコントラスト感度を改善するメカニズムは文献で示されていることから、本レビューの結果が覆るような新たな知見が報告される可能性は低いと考えられる。一方で、ルテインは緑黄色野菜や卵などの一般的な食品に含まれる成分であるため、食事等でルテインを十分量摂取している場合は本研究レビューの結果は反映されない可能性がある。 |