1. 活気・活力感
【標題】
GABAの摂取が、日常生活における一時的な活気・活力感の低下に与える機能性に関する研究レビュー
【目的】
健康な成人男女がGABAを含む食品を摂取した場合に、GABAを含まない食品(プラセボ)を摂取した場合と比べて、日常生活で生じる一時的な活気・活力感の低下を軽減するかどうかを検証することを目的とした。
【背景】
精神的、身体的負荷が増大しても、十分な休息を得ていれば負担にはならないが、一定期間十分な休息を得ずに継続した負荷がかかる場合、一時的に活気・活力感が低下し、作業効率が低下するなど、社会生活にも影響することが考えられる。GABAは、日常生活における一時的な活気・活力感の維持・改善について近年研究されているが、質の高い研究レビューはなかったため、網羅的な文献検索にて研究レビューを実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
外国語文献検索には、PubMed(1946年~2017年)、英語文献検索には、The Cochrane Library(1992年~2017年)、日本語文献は、医中誌Web(1977年~2017年)、J-DreamⅢ(1975年(医学情報は1981年)~2017年)のデータベースを用い2017年1月15日に検索を実施した。文献を精査し、健康な成人男女を対象とし、GABAの摂取とプラセボの摂取とを比較した試験デザインである1報の文献を評価した。
【主な結果】
評価された1報において、日常生活で一時的な活気・活力感が低下している成人男女に、GABA 100 mg/日、あるいはGABAを含まないプラセボを12週間摂取させた結果、GABAを摂取したグループでは評価項目の「活気・活力感」が、摂取6週目に有意な改善、8週目、12週目に改善傾向を示した。このことから、GABAには、日常生活で生じる一時的な活気・活力感の低下を軽減する機能性があると評価した。なお、GABAの摂取による有害事象は見られなかった。
【科学的根拠の質】
採用論文は査読を実施したRCT論文であることから、科学的根拠の質は高い。
また、採用論文は、日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。本レビューの限界として、採用した論文が1報しかなく、様々なバイアス・リスク(ネガティブな研究は公開されにくいことによる情報の偏り)を含む結果である可能性は否定できない。採用論文、被験者とも数が少ないので、研究の限界があり、さらなる質の高い研究が望まれる。
2. 睡眠の質
【標題】
GABA摂取による睡眠の質改善機能に関する研究レビュー
【目的】
日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)に対するGABA摂取の機能性を調べるため、健康な成人男女に、GABAを摂取させると、GABAを含まない食品(プラセボ)の摂取と比較して、日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)を改善するかどうかを検証の目的とした。
【背景】
ストレスは、ヒトの睡眠に様々な影響を及ぼすことが知られている。主観的ストレス、緊張感や不安が多い人に睡眠問題の有症率が高く、心理的ストレスが高いことやストレスにうまく対処できないことは不眠症のリスクを高めてしまう。GABAは、睡眠の質を改善することが報告されているが、質の高い研究レビューがほとんどないため、網羅的な文献検索にて研究レビューを実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
外国語文献検索には、PubMed(1946年~2018年)、英語文献検索には、The Cochrane Library(1992年~2018年)、日本語文献は、医中誌Web(1977年~2018年)、J-DreamⅢ(1975年(医学情報は1981年)~2018年)、UMIN-CTR(~2018年)のデータベースを用い2018年8月13日に検索を実施した。文献を精査し、健康な成人男女を対象とし、プラセボと比較した試験デザインである2報の文献を評価した。
【主な結果】
査読付きRCT論文2報が採用された。2報とも、睡眠の質に問題を感じている日本人の健康な成人男女において、GABA100mg/日を摂取すると、プラセボ摂取に比べ、深い眠りを示す「ノンレム睡眠時間」が有意に増加していた。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合に、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3(最も深い眠り)時間が有意に増加した。このことから、GABAは、睡眠の質に不満を持ち、かつ、一時的な疲労感やストレスを感じている者において、睡眠の質(眠りの深さ)を向上させる機能を発揮すると評価した。
【科学的根拠の質】
採用論文は査読を実施したRCT論文であることから、科学的根拠の質は高い。また、採用論文は、日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。本レビューの限界として、採用した論文が2報しかなく、様々なバイアス・リスクを含む結果である可能性は否定できない。採用論文、被験者とも数が少ないので、研究の限界があり、さらなる質の高い研究が望まれる。 |