難消化性デキストリン(食物繊維)の以下の機能性に関して、検証した。
・食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにする機能
・食後の血糖値の上昇を穏やかにする機能
・おなかの調子を整える機能
【標題】
難消化性デキストリン(食物繊維)を用いた健常成人に対する食後血中中性脂肪の上昇抑制作用、食後血糖の上昇抑制作用、及び整腸作用(便通改善作用)に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】
当該製品では以下の3つを調査しました。
1)健常成人または空腹時の血中中性脂肪値がやや高めの成人に対して、難消化性デキストリン(食物繊維)の摂取は食後血中中性脂肪値の上昇を抑制するか。
2)健常成人または境界域血糖値の成人に対して、難消化性デキストリンの摂取は食後血糖の上昇を抑制するか。
3)健常成人または便秘傾向の成人に対して、難消化性デキストリン(食物繊維)の摂取よる整腸作用(便通改善作用)がみられるか。
【背景】
現在、食生活の欧米化や慢性的な運動不足などにより、我が国におけるメタボリックシンドロームを初めとした生活習慣病の患者数が増加している。食生活を見直すことが注目視されている中で、食物繊維が糖尿病、肥満といった疾患や生活習慣病に対する予防効果があると言われている。
日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、食物繊維の摂取基準は18歳以上の男女において、目標量が男性18~19g/日、女性17~18g/日と設定されているが(厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015年版)、「平成24年国民健康・栄養調査報告」によると、20歳以上の1日当たりの食物繊維摂取量は平均15.1gとされており(厚生労働省 平成24年国民健康・栄養調査報告)、食物繊維の摂取不足が推測される。
水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリン(食物繊維)は、トウモロコシでん粉から作られており、食後の血中中性脂肪値の上昇抑制作用、食後の血糖値の上昇抑制作用、便通及び便性改善作用を持つことが報告されている。
そこで今回、難消化性デキストリン(食物繊維)の食後の血中中性脂肪値の上昇抑制作用、血糖値の上昇抑制作用、及び整腸作用(便通改善作用)に関する調査を実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
文献検索には、PubMed、Cochrane Library、医中誌Web、CiNii Articlesの4データーベースを使用し、難消化性デキストリン(食物繊維)の食後の血中中性脂肪値の上昇抑制作用、血糖値の上昇抑制作用、及び整腸作用(便通改善作用)についてランダム化比較試験(RTC)によって検証されている原著論文を対象としたシステマティックレビュー(メタアナリシス)を実施した。
1)血中中性脂肪値の上昇抑制作用
当該作用に関する論文を収集し、下記対象者の「食後2,3,4時間の血中中性脂肪値(mg/dL)」「食後0時間から6時間までの血中中性脂肪値の濃度曲線下面積(mg・h/dL)」の測定データを統合解析した。
<対象者>
・年齢:20歳以上であること
・性別:問わない
・臨床試験の内容を十分に理解し、文書による同意を受けている者。
・疾病に罹患していない者、もしくは空腹時に血中中性脂肪値がやや高めの者。
<非対象者>
・妊娠しているもしくは授乳中の女性。
・その他、データ公正を図るうえで、何らかの問題があると判断される者。
2)血糖値の上昇抑制作用
当該作用に関する論文を収集し、下記対象者の「食後30,60分の血糖値(mg/dL)」「食後0分から120分までの血糖値の濃度曲線下面積(mg・h/dL)」の測定データを統合解析した。
<対象者>
・年齢:20歳以上であること
・性別:問わない
・臨床試験の内容を十分に理解し、文書による同意を受けている者。
・疾病に罹患していない者、もしくは境界域血糖値の者。
<非対象者>
・妊娠しているもしくは授乳中の女性。
・その他、データ公正を図るうえで、何らかの問題があると判断される者。
3)整腸作用(便通改善作用)
当該作用に関する論文を収集し、下記対象者の「排便回数」「排便量」の測定データを統合解析した。
<対象者>
・年齢:20歳以上であること
・性別:問わない
・臨床試験の内容を十分に理解し、文書による同意を受けている者。
・疾病に罹患していない者であり、健常成人および便秘傾向者。
<非対象者>
・妊娠しているもしくは授乳中の女性。
・その他、データ公正を図るうえで、何らかの問題があると判断される者。
【主な結果】
1)血中中性脂肪値の上昇抑制作用
統計解析の結果、「食後血中中性脂肪値(2時間、3時間、4時間)」「食後血中中性脂肪値の濃度曲線下面積(AUC0-6h)」、並びにそれぞれの変化値の計8つの評価項目において、難消化性デキストリン(食物繊維)を食事と併用することによって、食後血中中性脂肪値を有意に低下させることが確認された。また、健常成人のみを対象とした論文においても同様の結果が確認された。難消化性デキストリン(食物繊維として)の1回摂取量は5~9gだが、検証量のいずれの量でも血中中性脂肪値の上昇抑制作用が期待できることが判明した。
2)血糖値の上昇抑制作用
統計解析の結果、「食後血糖値(30分、60分)」「食後血糖値の濃度曲線下面積(AUC0-120min)」の3つの評価項目において、難消化性デキストリン(食物繊維)を食事と併用することによって、食後血糖値を有意に低下させることが確認された。難消化性デキストリン(食物繊維として)の1回摂取量は4~16gであり、用量依存性が認められたが、検証量のいずれの量でも血糖値の上昇抑制作用が期待できることが判明した。
3)整腸作用(便通改善作用)
統計解析の結果、「排便回数」「排便量」の2つの評価項目において、難消化性デキストリン(食物繊維)の摂取によって、「排便回数」「排便量」を有意に増加させることが確認された。難消化性デキストリン(食物繊維)の検証量は1日摂取量4.2~8g(食物繊維として3.8~7.7g)であり、用量依存性が認められたが、いずれの量でも整腸作用が期待できることが判明した。
【科学的根拠の質】
難消化性デキストリン(食物繊維)の効果の評価を行うにあたり、科学的根拠となる論文について研究目的や研究デザイン或いはデータの質の採用基準を設定した実施計画書を作成し、基準を満たす論文を採用してそのデータを総合的に解析した。
血中中性脂肪値の上昇抑制作用9編、血糖値の上昇抑制作用43編、整腸作用(便通改善作用)26編の論文を検証した結果、いずれの作用も期待できることが認められたため、科学的根拠は確保されていると評価した。
いずれの機能性においても未公表データによる公表バイアスの可能性は否定できないが、Fale-Safe Nを考慮すると、公表バイアスは小さいと判断した。
今後の研究によっては、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査が必要である。また、食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、さらなる研究が必要と考えられる。
(構造化抄録) |