『クエン酸の疲労軽減(回復も含む)効果』
①標題
クエン酸の日常生活や運動後の疲労軽減効果の検証
②目的
クエン酸が配合された食品を摂取した場合の日常生活や運動後の疲労の軽減効果を確認することを目的とする。そのため研究レビューとして、健常な成人を対象として、クエン酸を含まない食品と比較した国内外の論文を広く調査して下記効果の科学的根拠を評価した。
③背景
平成11年に厚生省疲労調査研究班が実施した疫学調査において、我が国で疲労感を自覚している人の割合は就労人口の約60%(4,720万人)である。疲労感は多くの場合、不快感と活動意欲の低下が認められる(日本疲労学会平成22年発表より)ため、多くの人々は疲労感によって健康な状態を妨げられている。
また、「健康日本21(第二次)(2013年~)」において、国民の健康増進のために、栄養と食生活に並んで身体活動・運動等の生活習慣の改善が重要であると記載されており、「疲労感」を軽減し活動意欲の低下を抑えて、身体活動量や運動量の低下を改善することは、健康増進のために大切であると言える。
これらのことから疲労感の軽減効果をもつ食品を提供することは、日本人の健康維持に役立つと考えた。
【機能性関与成分(クエン酸)の選定】
クエン酸は、上記の効果を調査した臨床試験の論文が複数報告されていることから、当該製品の機能性関与成分に選定した。
④研究レビュー対象とした研究の特性
論文の検索日:2015年6月3日(和文)、2015年6月8日(英文)
対象期間:1966年~2015年
対象集団の特性:健常成人
最終的に評価した論文数:3報
研究デザイン:ランダム化ダブルブラインドクロスオーバー試験またはランダム化ダブルブラインド並行群間試験
利益相反情報:なし
⑤主な結果
健常成人にクエン酸を継続摂取させることにより、日常生活や運動後の疲労の軽減効果があるとした論文が3報あった。なお、肯定的な論文2報が主観指標のみの評価であることから、アウトカムとしては「疲労」軽減ではなく「疲労感」の軽減に限定すべきと考える。
⑥科学的根拠の質
評価した全ての論文の研究デザイン(試験方法等)が、日常生活や運動後の疲労の軽減効果を調査する目的におおよそ適合していることを確認した。採用した論文の質は全て中程度であり、臨床試験の規模(例:被験者数)も総じて一般的に実施される食品摂取臨床試験と同等であった。
また、日常生活や運動後の疲労の軽減効果が確認された論文が3報中3報全てであることから、効果があるという結果には一貫性があると判断した。効果がないという一部の研究成果が、論文として出版されていない可能性はあるが、その点については確認できなかった。
以上のことから、継続摂取することによるクエン酸の日常生活や運動後の疲労感の軽減効果に関して、今回評価した論文全体を通して、科学的根拠の質は確保されていると評価した。(社内基準による科学的根拠レベルの判定:「示唆的な根拠がある」)。
『モノグルコシルヘスペリジンの血流改善及び体温維持効果』
①標題
モノグルコシルヘスペリジンの血流改善及び体温維持効果に関する研究レビュー
②目的
健常な成人がモノグルコシルヘスペリジンを配合した食品を摂取した場合、配合していない食品を摂取した場合と比較して血流が改善し、体温が維持されるか検証することを目的とした。なお、モノグルコシルヘスペリジンの活性本体はヘスペレチンであるため、ヘスペリジンとヘスペレチンも評価の対象とした。
③背景
モノグルコシルヘスペリジンは、みかんなどの柑橘類に含まれるヘスペリジンに、糖を付加した物質である。モノグルコシルヘスペリジン及びその活性本体の血流改善や体温維持の効果について、ヒトを対象とした試験は報告されているが、総合的に評価した研究レビューは実施されていなかった。
④研究レビュー対象とした研究の特性
論文の検索は、2つのデータベースを用いて、1966年~2016年に公表された和文と英文の論文を対象に実施した。その結果、本研究レビューの対象となった論文が3報得られた。論文は、健常女性(18歳以上40歳未満)を対象としており、同じ被験者が機能性関与成分(モノグルコシルヘスペリジンもしくはヘスペレチン)を配合する食品を摂取する回と配合しない食品を摂取する回に参加して、機能性関与成分の効果を比較検討する試験方法を用いていた。なお、利益相反について、いずれの論文にも記載はなかった。
⑤主な結果
評価した論文3報全てで、モノグルコシルヘスペリジンまたはヘスペレチンに血流改善及び体温維持効果があることが示されていた。モノグルコシルヘスペリジンが効果を発揮する摂取量は、論文2報において、それぞれ1日あたり178 mg、340 mgであった。また、1報においてヘスペレチンを1日あたり17 mgまたは34 mg摂取することで効果が発揮されたことで、モノグルコシルヘスペリジンに換算すると178 mg以下で発揮されると推定された。以上から、1日あたりモノグルコシルヘスペリジンを178 mg摂取すれば、血流改善及び体温維持効果が発揮されると考えられた。なお、評価した論文3報はいずれも冷房下など周囲が冷えた環境下で測定されており、測定部位は主に手や足などの末梢部であった。
⑥科学的根拠の質
評価した論文3報の質は全て、中程度であった。さらに評価した論文3報全てで血流改善及び体温の維持効果が確認されたことから、結果には一貫性があると判断した。ただし、効果がないという一部の研究成果が、論文として出版されていない可能性は否定できなかった。評価した論文は健常女性(18歳以上40歳未満)を対象としていたが、効果を発揮するメカニズムを考慮すると、年齢や性別によって機能性や有効性に大きな差が生じることは考えにくいため、健常者全般に適用範囲を広げることができると考える。また、評価した論文3報がいずれも、冷房下など周囲が冷えた環境下で測定されており、測定部位は主に手や足などの末梢部であったため、モノグルコシルヘスペリジンまたはヘスペレチンの血流改善及び体温維持効果は、周囲が冷えた環境下において、体の末梢部位で発揮される効果であると考える。 |