【睡眠】
(ア)標題
L-テアニンの摂取は睡眠の質を改善し、夜間の良質な睡眠をサポートするか。
(イ)目的
健常者成人において、L-テアニンを就寝前に摂取した場合に、睡眠の質が改善するかについて検証することを目的とした。
(ウ)背景
L-テアニンの睡眠改善効果について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に評価された文献はなかったため、L-テアニンが夜間の睡眠の質を改善するかを結論付けることは出来なかった。そこで検証が必要となった。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
英語文献検索には、PubMed(検索対象期間:1971年~2016年5月9日)、Cochrane Library(1997年~2016年4月)のデータベースを用い2016年5月9日に検索を実施した。日本語文献は、JSTPlus(検索対象期間:1981年~2016年5月17日)JMEDPlus(1981年~2016年5月17日)、JST7580(1975年~1980年12月8日)のデータベースを用い2016年5月23日に検索を実施した。文献を精査し、健常な日本人成人を対象とし、L-テアニンを摂取しない群と比較した試験デザインである3報の文献を評価した。これらの文献のうち2報は、原料を販売している企業と大学研究機関との共同研究、1報は原料の提供はあるが大学研究機関が独自で実施した研究の結果によるものである。
(オ)主な結果
評価した3報の結果をまとめ、統計学的に解析した結果、アンケート調査で「疲労回復感」、「起床時の眠気軽減」について、L-テアニン摂取による改善効果と強い相関性が認められ、「睡眠時間の延長感」、「夢みのよさ」については中程度の相関性、「入眠と睡眠維持」については弱い相関性が認められ、「睡眠時間」については相関性が認められなかった。また、客観的評価指標の「交感神経系活動量」について強い相関性が認められ、「睡眠効率」、「中途覚醒時間」、「副交感神経系活動量」については中程度の相関性が認められた。
以上より、L-テアニンの摂取は、睡眠の質を改善し、健やかな眠り(朝目覚めた時の疲労感と眠気を軽減すること)をサポートすると考えられる。
(カ)科学的根拠の質
選定された文献が3報のため出版によるバイアスの評価には至らなかった。精確性の評価に関してはサンプルサイズが少ないため考慮が必要とされた。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、エビデンス総体の質はおおむね良好と考えられる。
【ストレス】
(ア)標題
L-テアニンの摂取はストレスを緩和する機能があるか。
(イ)目的
健常者成人において、L-テアニンを摂取した場合に、ストレスをやわらげる機能があるかについて検証することを目的とした。
(ウ)背景
L-テアニンのストレスを緩和する機能について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に評価された文献は無かったため、L-テアニンはストレスを緩和する機能があるか結論付けることはできなかった。そこで検証が必要となった。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
英語文献検索には、PubMed(検索対象期間:1971年~2016年5月9日)、Cochrane Library(1997年~2016年4月)のデータベースを用い2016年5月9日に検索を実施した。日本語検索は、JSTPlus(検索対象期間:1981年~2016年5月17日)、JMEDPlus(1981年~2016年5月17日)、JST7580(1975年~1980年12月8日)のデータベースを用い2016年5月23日に検索を実施した。文献を精査し、健常な日本人成人を対象とし、L-テアニンを摂取しない群と比較した試験デザインである3報の文献を評価した。
これら3報のうち2報は原料を販売している企業と大学研究機関との共同研究、1報は原料の提供はあるが大学研究機関が独自で実施した研究の結果である。
(オ)主な結果
評価した3報の結果をまとめ、統計学的に解析した結果、ストレス負荷がかかった状況でL-テアニンを200㎎摂取することにより、ストレスを評価する指標とする項目のうち、主観的評価である「STAI」「Subject stress: VAS」についてはL-テアニン摂取と強い相関性が認められ、客観的評価である「唾液のストレスマーカー(IgA)」および自律神経系の「心拍数」については強い相関性、「拡張期血圧」については中程度の相関性、「収縮期血圧」については弱い相関性が認められた。
以上により、L-テアニンの摂取は、作業にともなう一時的なストレスを緩和する機能があると考えられる。
(カ)科学的根拠の質
選定された文献が3報のため出版によるバイアスの評価には至らなかった。精確性の評価に関してはサンプルサイズが少ないため考慮が必要とされた。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、エビデンス総体の質はおおむね良好と考えられる。 |