【標題】
ルテイン・ゼアキサンチンの摂取は、光の刺激を和らげ、眼のコントラスト感度(ぼやけの解消によって、はっきりと物を識別する感度)を改善する機能があるかを検討する。
【目的】
P:健常人の男女が、I:ルテイン及びゼアキサンチン摂取による介入により、C:プラセボ摂取と比較して、O:光の刺激を和らげ、眼のコントラスト感度(ぼやけの解消によって、はっきりと物を識別する感度)を改善するかについて、広く文献検索を行い、研究レビューを行った。
【背景】
摂取したルテイン・ゼアキサンチンは、眼の網膜の中心部である黄斑部に蓄積され、外からの光のフィルターの役割を果たす黄斑色素を構成している。これまでに、ルテイン・ゼアキサンチンの摂取が、光の刺激を和らげ、眼のコントラスト感度(ぼやけの解消によって、はっきりと物を識別する感度)の改善に対して効果があるという論文は報告されているが、その合理的根拠について検証を行った。
【レビュー対象とした研究の特性】
2015年6月5日に、2015年1月までに公表された査読付きの論文を対象として、プラセボ対照の無作為化二重盲検試験を検索した。
【主な結果】
健常な男女に対して、ルテイン及びゼアキサンチンを摂取させた介入試験は複数存在したが、最終的に本届出製品の機能性表示に関与すると考えられる論文を1報採択した。採択文献であるHammond等の2014年の研究は試験のサンプルサイズが115名と大きく質が高い。試験は1日ルテイン10mg、ゼアキサンチン2mgを1年間摂取させており、黄斑部中心から10、30、60、105分離れた距離の黄斑色素密度がそれぞれ有意に上昇した(10’ P < 0.0001, 30’ P < 0.0001, 60’ P = 0.006, 105’ P = 0.0004)。さらに、光ストレスからの回復時間を検証したところ顕著な時間短縮が見られた。(P=0.013)光ストレスからの回復時間が短縮することは、光からの刺激を和らげる機能があることを示唆する。
また、本研究において、ルテイン及びゼアキサンチンを摂取すると眼のコントラスト感度が改善することが示唆された。(P=0.030)。この結果から、本届出製品の求める眼のコントラスト感度を改善するという機能に関する重要なエビデンスが得られたと判断する。
また、採択文献としては採用しなかったが、2012年のTanito等の研究では、日本人の健常者において3ヵ月間の介入試験により、1日ルテイン10mg、ゼアキサンチン0.08mg摂取した群において、黄斑色素密度が有意に上昇した。この研究は日本人を対象としたものであることから、黄斑色素密度が日本人においても上昇がみられるかを知る、外挿性を考慮した場合大変重要である。
さらにHammond等の論文で使用されたルテイン及びゼアキサンチンが本届出製品の中で使用されるルテイン及びゼアキサンチンと同等であることも、同等性を考慮した場合重要だと判断した。
なお、Hammond等の論文中の試験の対象者は大学生であるため、18-19歳の被験者が含まれる。しかし、年齢が成年とほとんど変わらないことから、影響はほとんどないと考えられる。
これらの論文の結果を総括して、本届出製品はルテイン18mg、ゼアキサンチン2mgを含みTotality of evidenceの視点からエビデンスに十分な量の機能性関与成分を含み、本届出製品によりルテイン及びゼアキサンチンを摂取することで、光の刺激を和らげ、眼のコントラスト感度(ぼやけの解消によって、はっきりと物を識別する感度)を改善する機能があると判断した。
【科学的根拠の質】
選択した論文の質はJadad score値も高く、エビデンスの強度も高いため、本届出製品に求める機能性の合理的根拠は強いと考えられる。また、これらの論文の質は非常に高いため、科学的根拠の質は高いと考えられる。
なお、採用文献中の試験の対象者は大学生であるため、18-19歳の被験者が含まれる。しかし、年齢が成年とほとんど変わらないことから、影響はほとんどないと考えられる。
さらに、この論文で使用されたルテイン及びゼアキサンチンが本届出製品で使用されるルテイン及びゼアキサンチンと同等であることから、同等性が高いと考えられる。
本研究の限界として、本研究レビューで採択した論文は、日本以外(米国)で行われた研究であることが考えられる。しかしながら、本届出製品が求める機能性は光の刺激を和らげ、眼のコントラスト感度(ぼやけの解消によって、はっきりと物を識別する感度)を改善するという機能であり、Tanitoらの研究で日本国内の研究でも確認されている「黄斑色素密度の上昇」が伴うものであるため、民族的な相違、生活環境の相違などが与える影響は少ないと考えられるが、今後、日本人による同様の研究の進展が望まれる。
また、本研究レビューで採択した論文は1報のみであるため、研究の一貫性について論ずることは不可能であるが、今後行われる同様の研究により一貫性が議論されることが望まれる。
(構造化抄録) |