【標題】
リコピンの血圧低下作用について
【目的】
当該製品を販売するにあたり、リコピンの血圧低下作用に関して科学的な根拠があるのか文献を調査しました。調査する際には“成人※1がリコピンを摂取するとリコピンを摂取しなかったときと比べて血圧が下がる”ということが調べられている文献を探しました。
【背景】
日本人の死因の上位にある心疾患や脳血管疾患は生活習慣を改善することでそのリスクが低減すると言われています。血圧をコントロールすることもリスクを低減する上で重要なことです。血圧を正常に保つポイントは食事、運動、禁煙などの生活の質を改善することだと言われています。
【レビュー対象とした研究の特性】
日本語の文献(1975年以降に書かれたもの)と英語の文献(1971年以降に書かれたもの)を調査しました。対象者は成人※1です。調査の結果、4つの文献がヒットしました。被験者の血圧のステージは正常域血圧3報(正常血圧2報、正常高値血圧1報)、軽症高血圧1報(Ⅰ度高血圧1報)でした。このうち2報について血圧を下げる効果が認められました。効果が認められた文献は正常域血圧者を対象としたもの1報、軽症高血圧者(Ⅰ度高血圧者)を対象としたもの1報でした。
【主な結果】
効果が認められた文献にはリコピンを15mg含むトマト抽出物を毎日8週間摂取すると収縮期圧が下がることが書かれていました。このうち、正常域血圧の被験者のみを対象とする試験でも1日15mgのリコピンの摂取により収縮期圧の有意な低下が認められています。またMeta-Analysis文献(リコピンの血圧に対する影響を調べた文献を摂取量、摂取期間、ベースラインの血圧などから解析し総合的に効果を評価したもの)でもリコピンを1日12mg以上摂取することで収縮期圧120mmHg以上の方の血圧が下がることが記載されていました※2。
【科学的根拠の質】
<総合評価>
1日15mgのリコピンの摂取で血圧低下作用が認められています。それ以下の投与量では効果は認められませんでした。血圧を下げるためには長期間摂取し、血中のリコピン濃度を上げることが重要だとされています。
当該製品は1本あたり15mg以上のリコピンを含んでいます。調査した論文ではトマトまたはトマト抽出物中のリコピンを摂取し血圧低下効果が認められています。当該製品もトマト由来のリコピンを含有しており、同様の効果が期待できます。また、Meta-Analysis文献でも6つの論文から総合的に判断した結果、リコピンには血圧降下作用があると結論付けられており、収縮期圧120mmHg以上の方で効果があると記載されています。当該製品(機能性表示食品)では高血圧症に罹患していない人の中で血圧が気になり出した方(正常血圧者、正常高値血圧者)が該当します。
<正常域血圧※3での有効性について>
正常域血圧(正常血圧、正常高値血圧)の被験者のみを対象とする試験でも1日15mgのリコピンの摂取により収縮期圧は有意に低下しました。介入前126.0mmHgであった収縮期圧は、リコピン1日15mg、8週間摂取した後には122.8mmHgとなりました(-3.2mmHg)。血圧低下作用は正常血圧の範囲内で認められており、正常血圧を超えて低下するものではありませんでした。
よって、リコピンの摂取は高血圧症に罹患していない人の中で血圧が気になり出した方(正常血圧者、正常高値血圧者)の血圧を低下させ、血圧を正常域に近づける、すなわち健康な血圧をサポートすると考えられます。
<外挿性について>
有効性が認められた論文はアメリカ人対象1報、韓国人対象1報と人種に関係なく効果が認められており、リコピンの血圧低下作用の外挿性の問題はないと推察しています。またMeta-Analysis文献でもアジア人で有効性が確認されているという解析結果であり、日本人についても同様の効果が認められるものと推察しています。
※1 成人は正常高値血圧の方(収縮期圧130~139mmHg未満または拡張期圧85~89mmHg未満)、軽症高血圧(Ⅰ度高血圧)の方(収縮期圧140~159mmHg未満または拡張期圧90~99mmHg未満)を含んでいます。
※2 Lycopene supplement and blood pressure: an updated meta-analysis of intervention trials.
Li X, Xu J. Nutrients. 2013 Sep 18;5(9):3696-712.
※3 正常域血圧(日本高血圧学会の分類による)
至適血圧:収縮期圧120mmHg未満 かつ 拡張期圧80mmHg未満
正常血圧:収縮期圧120~129mmHgかつ/または 拡張期圧80~84mmHg
正常高値血圧:収縮期圧130~139mmHgかつ/または 拡張期圧85~89mmHg |