<GABA>
●睡眠の質(眠りの深さ)に関する研究レビュー
【目的】GABA摂取による睡眠の質(眠りの深さ)を改善する効果について、機能性を検討した。
【背景】GABA摂取により、精神的ストレスがかかる作業における一時的な疲労感を軽減することや、睡眠の質を改善することが既に報告されている。そこで、GABA摂取による日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)改善への効果を検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で脳波を評価している文献を2報採用し評価した。
【主な結果】GABA 100mg摂取の効果として、採用文献2報で、深い睡眠時間の有意な増加を示している。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3の時間が、GABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して有意に増加した。
【科学的根拠の質】採用文献のバイアスリスクは低度であり、査読ありのRCT論文で、客観的評価指標の脳波であるため科学的根拠の質は高いと考えられる。
●睡眠後の目覚めの質に関する研究レビュー
【目的】日常生活における睡眠の質(目覚め)に対するGABA摂取の機能性を検証した。
【背景】目覚めの質と睡眠の質は正の相関関係にあると考えられる。よって目覚めの質が睡眠の質を評価する上で重要な指標の一つであるとし、GABA摂取による日常生活における睡眠の質(目覚め)への効果を検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、健康成人を対象とし、GABA・プラセボ摂取時を比較した試験であり、VAS[feeling upon awakening]を評価している文献1報を評価した。
【主な結果】睡眠の質がやや低い健康な成人男女がGABA 100mgを摂取することにより、睡眠の質(目覚め)の改善が認められた。
【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文は低度であった。
●肌弾力維持機能に関する研究レビュー
【目的】健康な成人男女の肌弾力維持に対するGABAの機能性について検証した。
【背景】真皮組織の主成分である弾性線維は、加齢や紫外線などの影響により劣化することが報告されている。また弾性線維の低下による真皮層の菲薄化は、皮膚の脆弱性(スキン-テア)に繋がると考えられるが、平成30年度診療報酬改定にあたり、褥瘡の危険因子に皮膚の脆弱性(スキン-テアの保有、既往)が加えられ、皮膚の脆弱性を予防するための栄養食品の重要性が高まっている。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語のデータベースを検索・精査し、健康な成人を対象とし、GABAとプラセボを比較した試験であり、肌の弾性を評価している1報を評価した。
【主な結果】健康女性に対して、乾燥する時期に、GABA 100mgを摂取することにより、肌弾力低下が有意に緩和されることが認められた。肌弾力に関連する肌の構造は全身で共通であり、性差もないことから、GABAは肌の弾力を維持し、肌の健康を守るのを助ける機能があると評価した。
【科学的根拠の質】採用文献が1報のため出版バイアスは否定できず、肌弾力を測定した部位が頬のみであることから、今後さらなるエビデンスの蓄積が望まれる。しかし、採用文献はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の査読付き論文であり、評価指標も国内外にて広く用いられている手法であり、科学的根拠の質は問題ないと判断した。
●事務作業や家事による一時的なストレスや疲労感の緩和効果に関する研究レビュー
【目的】日常生活における精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感に対してGABA摂取の機能性を検証した。
【背景】GABAのデスクワークなどを主体とする精神負荷作業における疲労感の緩和について、これまで網羅的に評価された文献はなかった。そこでGABAの精神的ストレスがかかる作業後の疲労感緩和効果について検証するため本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、精査した結果、健常成人を対象とし、GABA・プラセボ摂取時を比較した試験である7報の文献を評価した。
【主な結果】一時的なストレスや疲労感を評価する指標「主観的指標(VAS、POMS)、客観的指標(唾液中のコルチゾール・クロモグラニンA、脳波の変動、自律神経活動の各指標)」により評価した結果、28 mg以上のGABAを摂取することで、事務作業や家事による一時的なストレスや疲労感を和らげる効果が確認された。
【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文7報中1報が中程度であり、他の6報は低度であった。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、科学的根拠の質は高いと考えられる。
●血圧低下作用に関する研究レビュー
【目的】血圧が高めの健常者に対するGABA摂取による血圧低下効果を改善する効果について、機能性を検討した。
【背景】GABAは発酵食品などに含まれており、日常的に摂取されているアミノ酸であり、血圧降下作用があることが知られている。そこでGABA摂取による血圧が高めの健常者に対する血圧低下効果を検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で血圧を評価している文献を15報採用し評価した。
【主な結果】正常高血圧(収縮期血圧 130~139 mmHg 又は拡張期血圧 85~89 mmHg)の人において、1日あたり12.3mg~80mgのGABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して、有意に低下する効果が認められた。また、正常な血圧の人のみを対象とした場合は正常な血圧を維持した。
【科学的根拠の質】採用文献のバイアスリスクは程度であり研究レビューの科学的根拠の質は高いと考えられる。また、幅広く文献の検索を実施しているが、今後も新しい研究報告について定期的にチェックする必要がある。
<米由来グルコシルセラミド>
●肌機能(保湿力)に関する研究レビュー
【目的】健常者(肌の乾燥を自覚する者等を含む)を対象に、グルコシルセラミド含有食品(食品形態は問わない)を摂取させたとき、プラセボ食品(配合内容は問わない)摂取群に比べ肌機能(保湿力)を維持・改善させる機能がみられるか評価した。
【背景】セラミドの一種である植物由来グルコシルセラミドにおいて、食品として摂取することで肌機能(保湿力)を維持・改善することが報告されているが、総合的に評価した報告はないため、定性的研究レビューおよびメタアナリシスを実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】健常成人男女において、グルコシルセラミド含有食品を用いて肌機能(保湿力)について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。採用論文9報は全て健常者(乾燥を自覚する者等を含む)を対象としており、比較対照群はプラセボ食品を用いていた。
【主な結果】9報のRCT論文が抽出され、そのうち統計解析に必要なデータが得られた8報においてメタアナリシスによる定量的な統合を実施した結果、グルコシルセラミド摂取群(0.6mg~1.8mg/日)が評価項目「皮膚水分蒸散量」において肌機能を維持・改善する方向で、プラセボ摂取群と比較して定性的・定量的に有意な結果を示していることが確認された。
【科学的根拠の質】本研究レビューで得られたグルコシルセラミドの肌機能(保湿力)の維持・改善について、グルコシルセラミドの基原植物および食品性状に関係なく認められており、採用論文における成分と本届出品中の機能性関与成分の同等性に問題ないと判断した。本研究の限界・問題点は、英語および日本語の論文のみを抽出対象としていることから、他の言語における本研究レビューに関連する論文の存在は否定できず、言語バイアスについて否定できない。 |